いくら釘を締めても入賞率が下がらない、そんなパチンコ台が昔は随分ありました。

数は昔に比べて減りましたが、釘の見た目も悪いのに何故かでてしまう、そんな台が存在する事をみなさんはご存知ですか?

パチプロ時代は単に『癖が良い!出来が良い!』で片づけて居ましたが、釘師の師匠に教えていただき始めてその理由を知りました。

今日はそんな昔話と過去の調整データを振り返りながら記事を書いていきたいと思いますのでよろしくお願いします。

先ず下記表を見てください。これはある店舗から調整依頼のあったアナログ系機種の個体差を数値化した記録です。
表1)

左側から台番号、板奥とは盤面根元の釘間隔、板12.00とは命釘を12.00のサイズになるように調整した記録です。
板奥の数字に若干の違いがあることがお分かり頂けますでしょうか?
78番台は11.40に対し82番台は11.20で、根元の間隔に0.2ミリの違いがあります。

メーカーから出荷された段階で釘間隔に誤差があるのです(笑)。これを知らずに板で命釘を合せると個体差となって現れます。

命釘をいくら締めても調整できない、そもそも根元の間隔が広いのでどうすることも出来ませんよね?(修正する方法はありますが、それはまた別の記事で書きます)

デジタル機で0.2ミリの誤差があった場合、概ね1000円あたり1.2~1.8回多く回ります。これが釘調整のシビアなアナログ系機種の場合は大変な結果を招いてしまいます。

根元の間隔がそもそも違いますから入賞率に差が出るのは当然です。

本来パチンコ台は一律に調整できるものではありません。こうした台毎の個体差を把握しておくことも調整者の仕事だったわけですが、ここ10数年ですっかり忘れ去られてしまった様に思われます・・・。故・田山幸憲さんが釘は縦の比較(前日と比べる)が重要であると発言されている様に、そもそもパチンコ台それぞれが個性を持ち、同じ台など無いと考える事が調整者としても大切な事なのです。

最近ではアクリル板に釘を打たれた台が増えてきましたが、つい数年前までは盤面は木の合板で出来ていました。木材には木目があります、固い部分とやわらかい部分の節目を言いますが、釘を盤面に打った時、この木目が若干のズレを産んでいるのです。現にアクリルの盤面では根元の誤差は小さくなりました。

アナログ機を導入しても上手く使えない店舗が増えているのは、こういった事実を知らないで調整をする方が増えたからだと思います。実際に釘師の師匠から教えて頂くまで、私自身も知りませんでしたので偉そうなことを言うつもりはありません。ですが、もしこの文章を読んでくれている方に調整に携わる方、アナログ機導入を検討中の方々がおられましたら、知識として頭の片隅にでも置いて頂ければありがたいと思います。

また打ち手としては極端にマイナス調整されている台を見つけた時は命釘の根元のピッチを確認してみてください、盤面に模様があるなど機種によっては違いが判り易い機種もありますから(笑)。

まだ他にも入賞率が変わる条件としてネカセ、役モノ、玉の刻印の有無や汚れなど沢山ありますが、本日は釘の根元ピッチの違いについて記事を書いてみました。

それでは今日はこの辺で・・・。

あっ!そうそう。ちょうど先月の記事に書きましたムラに関する内容で、この表に玉が綺麗な状態と、汚れた状態でのブッコミ通過率を測定した数値がありますので併せて解説しておきます。

図1)

この店は玉場循環システムを使用しています。このシステムは一番ムラが大きく発生する島だと前回説明をしました。まず11.25前ポリとはブッコミを11.25ミリに調整、玉の洗浄はポリを使用(一般的にはポリか布)で営業終了後の状態、つまり研磨剤のポリが一番汚れた状態で通過率を計測した数値です。

研磨剤のポリを新しいものに入れかえ玉を綺麗な状態にし、同じ条件でブッコミ通過率を計測した数値が11.25ポリと記録されている方です。

玉が最も汚れた状態でのブッコミ平均通過率は20.5%
玉が綺麗な状態でのブッコミ平均通過率は23.5%

約3%ブッコミの通過率が向上しています。

特に85番台は9%もブッコミの通過率が向上していますね。これが前回説明した玉の汚れによって生じるムラの正体という事です。

さらにこの数値から台のコンディションも分ります。

86番台は数値が非常に悪い、この数値から考えられるのは発射装置バネの不良かと思われます。玉を発射装置に送るカセットや発射台に汚れが無いか?玉の中心を叩いているか?などをチェックすれば数値は改善されるはずです。

玉飛びの悪い台はお客さんのストレスに繋がります。最近ではこうしたメンテナンスが出来ていない店がとても増えたように感じますが、パチンコを楽しんで頂くには、こうした台毎の個性を知りメンテナンスにも力を入れなくてはお客さんの支持を得る事が出来ないのではないでしょうか?

天下一閃などのアナログ系機種を導入するならば最低限このレベルで外部要因を把握しメンテナンスに力を注いで頂きたいですね。いつか必ずアナログ機が復活し玉の動きを楽しんで頂ける環境が戻ってくることを願い、これからも釘師目線で記事をかいていけたらと思います。

それでは今日はこの辺で。