パチンコ、それ自体が社会貢献となっており、社会に必要だという意見には異論もあろうが、なんだかんだ言いつつも昔から長く続いている業界であることは事実だ。今後も業界を取り巻く状況は厳しいものがあるだろうが、決して奢らず、謙虚な姿勢で社会的認知度、貢献度を高めていく必要があるだろう。
全国遊技ビジネス振興会は9月12日、都内のホテルパークサイド上野で例会セミナーを開催した。当日は、初秋特別講演として、中部大学特任教授の武田邦彦氏が、「パチンコの社会的役割」をテーマに講義を行った。
会の冒頭、同会の三井慶満顧問が、「これまで正しいと思っていたことが、実は違っていたということもある。物事には、疑念を持つことが大切」と自身の健康管理で体感した実例を示しながら、「本当のことを伝えてくれる貴重な人」と講師を務める武田氏を紹介した。
武田氏は、パチンコのほかに、喫煙問題や環境問題など、人によって様々な考え方が持たれているテーマを例にあげながら独自の見解を披露。パチンコ業界については、「人には遊びが必要で、なかでもパチンコはちょうどいい距離感で人が集える場所で日本人にあっている。それ自体がすでに社会貢献となっているので、パチンコが社会に必要だということをもっと訴えていかなくてはいけない」と呼びかけた。
またその一方で、「パチンコが流行っていたころに、業界が社会的な意義をもう少し考察していれば、今の状況は変わっていたかもしれない」と指摘。今後は、多様な意見が黙殺されがちな社会情勢下であっても、業界からの正しい情報発信に力を注いでいくことが必要との考えを示すなどした。~以上、遊技通信webより引用~https://www.yugitsushin.jp/news/category/page/2/
武田氏に関しては様々な見方があるのだが、ここではそういった点はとりあえず置いておく。氏が指摘した、パチンコが流行っていた頃に業界が社会的な意義をもう少し考察していれば云々……に関しては全く同感だ。業界が潤っていた時期と言えば90年代前半あたりだろうか、この頃にギャンブルとしてのパチンコではなく、娯楽性やゲーム性としてのパチンコを社会全般に訴えるようなことをしていればまだ良かったのではなかろうかと個人的には思う。
合法的な連チャンを可能にしたCR機が登場し、より射幸性が高まり、産業としての業界規模はますます膨らんだのだが、その間、武田氏の言うような建設的な行動を業界が取ることはほとんどなかったのではなかろうか。しばらくは左うちわの時代が続いたのだが、いつまでも客があぶく銭を落としてくれるわけでもなし、警察当局がいつまでも射幸性の高い機械を認めてくれるわけもなし、2000年に入って徐々に様相が変化し、何度かの規則改正を経て今に至る。
賞球数は減り、大当たり1回あたりの出玉も減り、演出だけは過剰なものになり、煽るだけ煽ってあっさり外れる演出が当たり前となり、客側のストレスは溜まる一方だ。おまけに機械代だけは毎年のようにハネ上がり、40万円越えが当たり前になりつつある昨今、店側が客に還元するにも無理がある。
遊べるものも遊べない、お金がなくなるだけ、そんな雰囲気が支配的になった以上、難しい理屈をこねるまでもなく、社会全般として業界擁護に傾くわけがないのだ。特に必要ないでしょうと、そんなふうに言われてしまうわけである。適度な射幸性で日頃のストレス解消にはもってこいと、そんなパチンコ、パチスロが理想だとは思うのだが、冒頭で述べたように、今後の状況は厳しいものになるとも思う。武田氏のような外部の人間だけでなく、業界の中からより説得力のある発言が出てくることを期待したいところである。