月の頭に新型コロナについて色々書いたので、今回はスロットの話にしようかとも思ったのですが、毒を喰らわば皿まで…今月はコロナ月間にしてしまいます(笑)。

今回のお題は「コロナが終息するには」です。

 

感染症が終息するには…の前に、終息とは何なのか定義しないといけません。

しかし、厳密な定義はないようです。

感染者の人数で定義すると感染規模によって変わってしまうし、まあ仕方ないのかもしれませんね。

言ってしまえば、終息宣言などがされるのは出す側の匙加減次第のようですが、何となくのイメージを作りましょう。

 

まず、偏差値の分布などで目にするどこかを頂点とした山型の曲線グラフをイメージしてください。

これが感染者数の推移で、スタートから感染者が増えていって、どこかで頂点を迎えて下がっていきます。

この下がっていく中のどこか…で終息宣言がされるということです。

逆に、パンデミックの発表は上がっていく中のどこかで…こちらも、宣言する側の匙加減次第のようですね。

 

さあ、ではどうやったら頂点を迎えて感染者数を下げることができるのでしょうか?

ちゃんと説明しようと思って詳細に書いてみたら巻物かってくらい長くなったのでとても大雑把に…一人の患者から感染を広げる人数が一人より少なくなれば、感染者数を減らすことができます。

 

ある感染症の感染力を表す指標として、「基本再生産数」があります。

これは一人の患者が何人の感染者を増やすか…を数値化したものです(実際は回復率や隔離率も考慮されていて複雑ですが、簡単に説明しています)。

例えば、これを「5」だとすると、最初は一人の患者ですが「1→5→25→125→625→3,125→15,625→78,125→390,625→1,953,125→…」と患者が増えていきます。

5はかなり強めの感染力で、この勢いで増えていったら致死率次第で人類が滅亡しそうですね(実際は強個体が残って滅亡はしませんが)。

 

この基本再生産数をより現実に近づけたものが実行再生産数です。

これはある時、ある集団の中で一人の患者からどれくらいの感染者が出ているか表しています。

例えば、国や宗教が違えば文化が違います。

人との接触なども変わるので、再生産数も地域で変わってくるのです。

 

今の日本は自粛の効果もあって実行再生産数が1よりちょっと多いくらい。

欧米に比べて圧倒的に低いので、他国のような惨状にはなっていません。

しかし、いつまでも自粛をしてはいられないので、何らかの方法で実行再生産数を1以下にして終息に向かいたいところ。

 

感染症が終息に向かう(再生産数が1より小さくなる)パターンは大体3パターンです。

1、隔離措置により封じ込める

2、集団免疫によって拡散の速度が遅くなる

3、何らかの要因でウイルスが拡がらなくなる

 

大抵、まずは1を目指します(過去形で目指しました)。

最近だとエボラ出血熱やサーズ、マーズとはこれで鎮静化しました。

しかし、今回の新型コロナは毒性が低く、無症状感染もあるためにこれは難しいです。

すでに、封じ込めはできなくなっています。

 

次に、3を考えます。

何らかの要因で…には、例えばウイルスが変異して人人感染しにくくなるとか、湿度が上がって感染力が下がる…とかです。

これを期待する声も多かったですが、三月末のアメリカで猛烈に感染者が増えているのを見る限り難しいのかなと。

今後、好転の余地はなくはないですが…。

 

…となると、最後の2「集団免疫を獲得する」が現実的なやり方です。

3月中旬にドイツのメルケル首相が「全国民の60~70%がコロナに感染する(3月12日日経新聞より)」と発言したのが話題になりました。

これは集団免疫を獲得しないとコロナが終息しないとの意味です。

 

数字が分かりやすいように基本再生産数2の感染症があったとします。

そのままにすればどんどん患者が増える計算ですが、ある集団の50パーセントが集団免疫を獲得していたとします。

すると、一人の患者が二人に感染を拡げる…はずが、そのうちの一人は免疫を持っていてうつりません。

つまり、基本再生産率が1となり、感染状況は横ばいになります。

 

新型コロナの基本再生産率は3くらいらしいので、3人に1人しか感染しなければ横ばいです。

つまり、3人中2人が集団免疫を持っていれば、状況が悪化しないことになります。

つまり、67%の人が免疫を持てばそれ以上の拡がりを防げるわけです。

 

じゃあ、免疫を獲得すれば良いじゃん…って思いますよね。

しかし、現状では新型コロナの免疫を獲得するには新型コロナに感染して治す…以外の方法がないんです。

それがメルケル首相の言う「60~70%の人が感染する」に繋がります。

 

日本に置き換えると、人口1億人として70%なら7000万人が感染、そして治れば70%の人が集団免疫を獲得して自然に鎮静化していきます。

しかし、これがいばらの道です。

 

7000万人のうち20%が重症化するので1400万人が重症化します。

また、5%は人工心肺がないと生きられない重篤に至ります。

その数は350万人。

日本の人工心肺装置は3万台ちょいしかないので、同時に患者が出た場合は命の選別をしなければいけません(稼働中のものもあるので実際はもっと少ない人数で問題が起こります。台数は日本呼吸療法医学会のHPでご確認を)。

 

新型コロナの死亡率は2%程度…と言われていますが、それは適切な医療を受けられた場合。

イタリアなどは患者が溢れてしまい現在は死亡率が10%を超えています。

日本も人工呼吸器の数を考えると重篤者が3万人以上同時に出ればとんでもないことになるでしょう。

この適切な医療を受けられない状態を「医療崩壊」と呼んでいます。

 

もちろん、7000万人が同時に感染することはあり得ませんが、できるだけ感染速度を遅くすることが死亡率を下げることに繋がります。

また、こうやって時間を稼いでいる間にワクチンができるかもしれません(ワクチンを魔法の薬と勘違いしている人がいますが、弱毒化したそのウイルス自身を体に入れることで免疫を獲得しています)。

 

緩やかに7000万人が感染するのは至難の業ですが、現状はそれ以外に終息の道はありません。

もしくは、天祐があって3のウイルスが拡がらなくなる何かが起こるか…。

一番良いのはどこかでワクチンが開発されてノーリスクで集団免疫を獲得することですが、正直、私はどこかで新型コロナに罹るのは避けられなくなるかなと思っています。

皆さんも罹らないのが一番と思いながら、対岸の火事とは思わない心構えが必要かもしれません。