8月24日に公益財団法人の日本生産性本部余暇創研が「レジャー白書2020」の概要を発表しました。「レジャー白書」は、パチンコ(パチスロ含む)に限らず、レジャー全般・余暇の動向を調査してまとめたもの。「2020」とあるように毎年調査をしています(1977年より)。
パチンコの遊技人口の減少などで引き合いに出される数字は、この「レジャー白書」によるものです。2020年版によりますと、パチンコの“参加人口”は890万人。前の年から60万人減となりました。
どのラインから参加人口なのだろうか。日遊協が昨年まとめた「遊技業界データブック2019(PDFなので注意)」には、このように解説されています。
なお、レジャー白書における参加人口は、 厳密に言えば「パチンコファン」の数ではないことに注意したい。レジャー白書における 調査は海外旅行などの大型レジャーと、ウォーキングや庭いじりといった日常的な余暇の過ごし方を並列に扱い、1年間で当該活動を何回行ったかを尋ねている。そのため、日常的な娯楽に近いパチンコを、年に1回だけ行った人も「参加人口」としてカウントされる。
参加人口には年に1回という人も含まれるので、ホールの営業を支えるような“遊技人口”はもっと少ないとも読み取れます。ただ、私はそこまで少なくないと思っています。もちろん、徐々に減っているのも、最盛期からもの凄く減っていることも間違いありません。「まだいるから大丈夫」と、気休めで書くのではありませんよ。実態を正確に反映していない可能性が高いと思っているだけのことです。
○もう少しいるでしょ?
ホール数:9636軒
パチンコ:255万7845台
パチスロ:163万7906台
そのほか:179台
合計:419万5930台
令和元年の年末の数字ですが、これだけの台数が設置されています。そしてこのコロナ禍にあっても、1台あたりの平均遊技時間は4時間程度あります。設置台数からざっくり計算すると、890万人が平均2日に1回のペースで約4時間遊技するということに。いや、890万人が毎日約2時間ずつ打つでも良いですけど。
我々ヘビーな人の感覚は捨て去りましょう(笑)。仕事帰りにちょっと打つとして4時間はなかなか大変です。ジャグで1000円勝負という人もいるでしょう。チョロ打ちのノーマルなんて1000G程度で切り上げることはザラです。時間にして2時間弱です。そういう層もいるので、年に1回も含めた890万人ではとても賄いきれないと考えるのが自然です。
○調査対象が画一的?
遊技日本によると、今回の調査は今年1月から2月にインターネットを用いて実施され、有効回答数は、3539人(全国15~79歳男女)だったそうです。統計学的には十分なサンプルと言えます。
しかし「インターネットを用いて」は引っかかります。ヘビーなパチンカーとスロッターは、そのようなアンケートに答える暇があったら打ちに行っていそう(笑)。また、1パチなどに棲んでいそうな年配層は、インターネットに疎いことも多く。このような調査に出会う確率はほぼゼロでしょう。“回答をした人々=超ヘビーユーザーが含まれていない可能性の高い母数”と想像できます。
定義と調査方法が一定で、かつ詳細情報があれば“このような母数で増えているor減っている”となります。しかし、そこまでの個別分析は難しいでしょう。なので、数字を鵜呑みにするのではなく、傾向把握くらいに留めるべきかと思います。1000万人を切ったから大変だとかではなくてね。
日遊協「遊技業界データブック2019」より
数字だけ見ると、参加人口は約25年間で2930万人から890万人に落としたこととなります。冷静に考えてみましょう。1994年にインターネットで調査できますか? この当時は、駅前で募る“街頭アンケート”が主流。答えると500円か1000円のテレフォンカードを貰える感じでした。いや「レジャー白書」がどのような調査方法だったかは分からないですけど。
参加人口が2930万人だった1994年。当時のホール数は18113軒。小さい駅でも1軒くらいはパチンコ屋がありました。そう“たったいまパチンコを打っていた人が答えやすい場所”で調査していた可能性が高いのです。
なので、駅前で調査していたであろう1994年あたりの約3000万人は上ブレ。インターネット調査である最近の約900万人は下ブレの数字。私はそう捉えております。遊技人口・参加人口ともに減少傾向にあるのは、疑う余地がありませんけどね。これに関しては危機感を持つべき。日遊協もデータブックの解説をこのように締めております。
しかしその一方で、パチンコを「やる」「やらない」がはっきりし、ヘビーユーザー化が著しい現状と照らし合わせると、たとえ1回でもホールに足を運んでくれる層は貴重な存在である。「参加人口」の数は、ファン予備軍も含めた山の裾野を示す重要な指標であり、それこそ、業界団体がスローガンに掲げる「身近で手軽な大衆娯楽」ぶりを示すものといえるだけに、この底上げは今の業界にとって急務の課題といえる。
まったくもって、その通りでございます。
参考:遊技日本「パチンコ参加人口890万人、市場規模は20兆円/レジャー白書2020」
参考:日遊協「遊技業界データブック2019」
「身近で手軽な大衆娯楽」はいい響きのスローガンだと思います。
いつの頃からか実態とかけ離れていったかにも感じますが、まだ戻れることと願っています。
さて、レジャー白書の調査対象者は3千人そこそこらしいので、全数調査のように正確な数値を要求するには酷でしょうね。
私は、長期時系列の趨勢変化を把握するのに役立つと考えています。
佐々木師匠が書かれているとおり、傾向把握くらいに留めるべきだと思います。
打ち手のヘビーユーザー化が深刻な問題を誘発している事が言われて久しいですが、
実態を一番よく知っているのはユーザーの詳細データを持っているホールさんやメーカーさんですよね。
お上からの規制がこれ以上強化されないうちに、有効策の迅速な実施を願っています。
>オカパチクローバーさん
「身近で手軽な大衆娯楽」これこそが、パチンコ・パチスロの強みだったのに、それを捨ててしまっている気がしますね。
依存問題対策でも挙がることのある「ホール入場の顔認証」が進めば、正確な実態はつかめるかも。導入費用はかなりかかる気もしますが(汗)。