初めてインド象をみた日本人が誰かは知らんが、その人が本邦に持ち帰ったであろう「象の話」を想像するに、多分「めちゃくちゃデカかった」というのは少々誇張気味に言ってると思う。それを聞いた村人は「まじかよ海外にはすげー生き物がおるな」とその象のデカさを自分のなかで膨らませてまた別の人に語る。そうやって伝言ゲームみたいにやるうちに、やがてその村では「印度には象という山の化身がおり、その巨躯をもって近隣の村々を踏み荒らしておる」くらいにまで話が肥大し、そして「巨大生物」としての象が定着するだろう。

んでそういう風に信じた人が、実際にインドに渡って象を見た時には絶対にこう思う。なんか小せえなと。

象はデカい。が、そこまでデカくない。割りと絶妙なポジションの生き物だと思う。デカさでいうとスカイツリーとかのほうが確実にデカい。そのデカさというのはあくまで生き物の中では、という但し書きが付くものであって、「デカい」というのをアイデンティティにして語ると「そうでもねぇ」となるのだ。古来より人は未知に怯え備えるもので、おそらく巨像伝説の村では来もしない「象の襲来」を恐れる人もいるだろう。そして恐怖は伝播して軍備になり、象対策のための増兵なども行われるかもしれん。そして村が街になり、文明開化と共にゾウさんがやってきた時、誰かが叫ぶのだ。やつを殺せと。

そしてそれと同じことが、パチスロでおきておる。そう、スマスロだ。

スマスロの出玉は凄い。そこは認める。ただ、やれ設定1での万枚到達率が凄いだの一撃で5000枚出るだの、これは分かっててもあんまり喧伝せぬ方が良いのだ。というか思っていても言わん方がいい。理由はいくつかあるけども一番デカい理由は「ポリスメンがピリピリする」からである。そもそも5号機・6号機のルールが策定された経緯を見れば4号機爆裂時代にその端緒があるのは明白であり、爆裂を前面に押し出して騒ぐのは「象に備えた軍備」を呼ぶ。今のところ何となく彼らの態度も軟化しとるとはいえ、早速「犬夜叉」の増販自粛なんかの噂もきこえとる以上、もうマジで騒がない方がいい。

一応メーカー団体である日電協さんのガイドラインでは「一撃で3600枚を超える出玉」という表現を一切使わん事になっとる。メーカーもそこは表現に気をつけてるしメディアも気をつけておる。どっこい、我々ユーザーが「うは!犬夜叉で2万枚!」みたいなことをSNSとかで拡散するから駄目なのである。これが最終的には7号機のクソスペック化を招くかもしれんというのをマジで考えた方がいい。そりゃうっかりそのくらい出る可能性もゼロじゃないだろう。んなもん超ミラクルが起きただけであって、それがニュートラルな状態じゃないのだ。それをして「やばい」「あつい」「間違いない」と騒ぐのはもうスーパーフリーである。

こんなん悠遊道さんでしか書けないから書いちゃうけども、ホントに出玉とかの拡散はヤメたほうがいい。特に不味いのはリザルト画面で3600枚超えてる画像。ドヤりたいのは分かるけども、自分で自分の趣味から未来を奪う材料をエビデンス付きて提供しとるだけだ。内心では「凄い」と思ってても、「いやースマスロなんか大したこと無いっしょ」と言うくらいでちょうどいい。規制官庁が常ににらみを利かしとるというのを、頭の片隅にいれておこう。爆裂!爆裂!と皆で踊った翌日に一気に消沈した、2005年のことを思い出して欲しい。

いいかい、象はたいしてデカくないんだよ。事実は事実のままに。