久々に統一テーマ以外の話題でも。長らく雑誌に携わってきた人間として、思ったことを書いておこうかなと。「なぜ雑誌は衰退したのか」。いろいろ思うことがあります。

多くの人が動画を見るのが当たり前になって、プラットフォームとして古くなったからとか、活字離れとか言われて久しいです。その通りなのかもしれません。我々雑誌マンの力不足もあるでしょう。ただ、それと同時に「紙ならではの強み」をあまり活かしきれていないのでは。そうも思うのです。

インターネットの強みはいろいろありますが、即時性・検索によるダイレクトな情報収集が大きいでしょうか。雑誌は、そのインターネットの強い部分で対抗しようとしてきたような気がするんですよね。ドカンと巻頭に新機種を展開させる。そんな手法です。

確かにどこかには、その読者さんの知りたい部分は書かれているでしょう。しかし、知りたい部分だけを調べるのはインターネットの検索のほうが優ります。私が思うに、紙の良さは「お目当てでもない情報もついでに目にする」ことなのかなと。

例えば、1998年頃の機種を調べたかった場合、ネットでダイレクトに検索すると、その機種ズバリの記事が出てきます。それに対して紙ですと、おそらく隣のページは同じ頃の違う機種に割かれているんですね。その機種を打っていなかったとしても「こんなのがあったんだ」と、ついつい読んでしまうことでしょう。そうです。紙の良さとは“素敵な寄り道の提示”なんです。

まあ、インターネットと違って保存しやすいのもありますけどね。サイトならずっと残りそうなものですが、サイト閉鎖となってしまうと、跡形もなく消えますから。ええ、私も777@niftyなど何度か経験しています。

と、考えると“図鑑が最強”なんです。より多くのものをコンパクトに紹介する。詳しい必要はあまりないのです。インターネットの速度に負けますから。バラエティコーナーの配置と同じく「この機種を目当てに来た人たちに、違う機種を提案する」ような並びが望ましいでしょう。

 

実際、他の業界の紙媒体もそうなんですよ。例えばゲーム関連。攻略的なことはサイトに敵いません。そこで目を向けられているのは、キャラクターの設定資料集などです。これならば、いろいろ横に見られるのに向いていますし、マニアが保存もしやすいという“紙の利点”と符号します。

まあ、その。月刊とかはこのアイデアではダメかと思いますが、別冊か何かで1回限りの勝負をするならこの手法かなと思うのです。どの編集部にも貴重な写真が眠っているかと思うので、ぜひ活用して欲しいところですね。