前編はこちら

はい皆様ド年末ですYo!!今年も色々な事がありまして、そりゃあもう個人的にもドタバタとしたんですが、パチンコ業界内でも衝撃ニュースが数々ありました。今回はそれをベストテン形式で振り返っ……んん?そうか、忘れてた!今回は続きでしたね。ではでは、前置きはこれくらいにして、このまま本題に入りましょうそうしましょう。

売れる台がない!

大学中退からフリーターを経て、いざ就職を決意して東洋商事(現・フィールズ)と藤商事に応募するも、当然のように轟沈。その後たまたま転職情報誌で見つけた「パチンコ・パチスロ」という文字だけに惹かれ、販売会社の面接を受けて合格。すぐに勤務を開始したものの、その会社で扱えるメーカーが非常に限られており…パチンコは太陽エレックとサンセイ縛り。太陽エレックは言わずもがな万年超低空飛行、サンセイは今でこそ一軍メーカーだが、当時はCR出前一丁みたいな「ネタ台専門」だったので、この2社縛りで新規の営業回りするのはまさに地獄。なのでスロットに軸足を置こうとすると、それはそれで高砂電器産業縛り。

( ゚Д゚)どないせいっちゅうねん!

その他、聞いたことないメーカーのスロットもあるらしいが、そんなもん戦力になるはずもない。the・八方塞がり。

チューンナップ作業

そんなこんなで2ヶ月ほど過ごし、ついに「B販売」なるものを解禁されたのだが、要は入社から今までは違法ウラモノの営業をさせて良い人材なのかどうか…それだけを見極める期間だったようで、ここからがこの会社の本番ってことだ。
部長の営業に同行した帰り道、謎の倉庫へ拉致されて見た光景は…違法改造作業場。メーカーの工場から出荷された時点では間違いなくカタログ通りのスペックなのだが、ホールに設置される前にしばし保管される販売会社の倉庫で「謎の改造手術」を受けて、本来ならアニメファンの中学生みたいに大人しい性格の台が、急に岸和田少年愚連隊のカオルちゃんのような暴君にチューンナップするのである。

( ゚Д゚)フシギだねぇー(棒)

部長のチューンナップ作業を見せてもらっていると、ほんと鮮やか!テキパキとリール部分を外して、メイン基板を分離させて机の上にon。ドライヤーで熱を加えながら封印シールをキレ?っに剥がして、本体をパカッと開けて◯◯を◯◯し終わるまで、ものの数分。

( ゚Д゚)「よ!部長!日本一!」

売るには中身を知り尽くしたい

さすがにまだナカムラは触らせてもらえないが、作業の流れは理解した。そしてまずはこのチューンナップマシンを売ることからなのだが、元々外見やデザインは三流以下。しかしまぁ、そこは誰も求めてないし…むしろそのチープさが独特の怪しさを醸し出すシロモノなのだ。コイツの魅力の99.9%は、内規とか保通協なんてナンボのもんじゃい!な「どれだけ暴れるか」という側面と、それでいてホールにちゃんと利益を残せるかという2点。そこをちゃんと理解してからじゃないとセールスできない。しかしながらこの手の商品は、簡単なスペックカタログくらいなら持たせて貰えるが、より詳しい仕様書なんてものは下っ端社員が持ち出せるモノではない。部長に聞いてみると

(部ー_ー)「じゃあ一緒に◯◯さんとこ行くか、紹介しといたるわ」

◯◯さんとは、上位販社(末端販社に卸す販社)で、そこに仕様書類は厳重に保管されているらしい。

熊出没

倉庫を出てしばらく車で走り、◯◯さんに到着。

(部ー_ー)「おーまいどぉー!」

部長が挨拶しながら奥へ進み、社長室をノックすると、しばらくして扉の奥から熊が出てきた。これがね、ほんと熊。今の時期に山道歩いてたら撃ち殺されても文句言えないレベルの熊。この人を誤射しても世論は「しょうがない」と言ってくれるくらいの熊。んー言うなれば、マサ斎藤をさらに3倍熊にした感じ。そしてやたら陽気。陽気な熊。

(部ー_ー)「ちょっと詳しい仕様書を見せてやって欲しいんだわ」

部長がそう頼むと、熊が机の引き出しからバサッと書類の束を出してきて、自由に見ていいと言う。
しかし、熊はナカムラが横の商談スペースに置かれている見慣れぬスロットに注意を惹かれているのを見透かし、

( 熊゚∀゚)「なに?これ気になる?今度出る台やで!」

と、こちらに向けてくれた。
その台こそ忘れもしない「デジタルカウボーイ(テクノコーシン)」である。クソチープな外観、リール上部についてる大きい7セグデジタルでさえ、なぜかチープさを隠しきれない。

違和感の正体は…

ではでは遠慮なく…と台の前のイスに座らせてもらい、しばらく回してみる。はっきり言ってゲーム性は微塵も覚えてないが、なんとなーーく違和感が。この違和感の正体が分からない。

( ゚Д゚)「んーなんだろ……」

そこで熊が話しかけてきて、違和感を感じる事を伝えてみると、

( 熊゚∀゚)「ウェイトカットしてるで」

だそうだ。あーそうか!展示台だもんね!まさに違和感の正体はコレだ!そりゃそうだ!
ちなみにウェイトが無いとしたら、ホールの平均的な営業時間で回せるゲーム数は2倍イクんじゃない?勝つも負けるも2倍!

( ゚Д゚)「ですよねー!展示台ですもんね!」

そう言いながら台に向き直ろうとしたところ、

( 熊゚∀゚)「ちゃうねん、売る台にもウェイトないねん」

…………………は?

失言

いやいやいやいや、あのね、連チャンとかクソハマリとかは言い訳効くじゃん。異常な挙動でも、基板を解析されない限りは「ノーマルなのにたまたま偶然」でかなり苦しいながら逃れれるじゃん。その点、ウェイトが効かなかったらもう物理的にアウトじゃん。アホなのか?バカなのか?
さすがにビックリし過ぎて声が出ない。しかし「この台だけは売ったらヤヴァイ」と確信して、後はお付き合い程度にデジタルカウボーイを回して、熊と部長が談笑しているテーブルに戻る。

( 熊゚∀゚)「どや?おもろいやろ?兄ちゃんも頑張って売ってきてや!」

だそうだが、愛想笑いでその場をかわす。

( 熊゚∀゚)「兄ちゃんもな!契約取れたら会社通さんと俺に言うといでや!」

ここで部長の顔が凍る。微妙?な空気が漂い、理解するまで数秒。そうか、熊の言葉の「兄ちゃん【も】」だね。つまり、部長はいわゆる「販社の横流し」をやっていると。はは?ん。
気づかぬフリをして詳細な仕様書をひたすら凝視し、だいたい読み終わったところで部長と御暇することに。

部長、ぶっちゃける

車に乗り込んだ部長とナカムラだったが……会話がないので、明るく「そんな賢いやり方もあるんですねー!」と話を振ると、部長も腹を括ったようで、部長自身がもう今の会社を辞めようと思っている事、給料が新入りと大差ない事、などなどを暴露してきたではありませんか。そして遂には

(部ー_ー)「ナカムラ、一緒にやらんか?」

って、別に変な意味ではないのを念押ししておくが、要はこの会社を抜けてフリーの販売員をしないか?って話。余裕ができたらすぐに会社化して、幹部は約束すると。んーーー無理難題。少しは考えてみたが、万が一会社を抜けてやるなら1人でやりたい。
って事で、色々考えさせられたナカムラは、部長よりも早くサクッと退職してオリンピアの中途採用に応募したのでした。ま、落ちたんだけど…なぜか所長に気に入られてフリーで販売する権利だけ貰って、しばらくはフリーでウハウハできましたとさ。月間10日くらい働いて後は遊んで悠々自適。
ちなみに部長はその後本当に会社を立ち上げて、今ではそこそこ大きい会社で今も健在。付いて行ってたら面白かったかもねー。

※このコラムは遊技日本・本誌からの転載です※

遊技日本さまのご厚意により実現したものです。ご協力ありがとうございます。