前回#4-B
自分は人たらしである
どのようにすれば他人が自分を評価してくれるのか理解している
両親からいただいた容姿をどのようにすればより効果的になるかを常に考えている
「母さんはいつまで○○を甘やかしているつもりなの」
「あたしたちは○○の酒代のために母さんに仕送りしてるんじゃないのよ」
「俺たちだって生活が苦しいんだ。それにアイツのためにもならない。もしこのまま母さんが○○のことを一人立ちさせられないのであれば…」
幼少期に祖母と二人で暮らしていたときの話だ
○○というのは僕の父
「二階に上がっていなさい」
祖母は言ったが、二階にいても耳に入ってきた
理解できていたわけがない
だが、いつしか気付くと、僕は、鏡の前で笑顔の練習をするようになっていた
僕は常に笑っていることを選択した
どのようにすれば捨てられないか
それは次第に、嫌われないかに変り、好かれるかに変った
処世術と世の中では言うそうだ
生きる残るために手に入れた技術、防具、気付くとそれは人と対峙するにあたっての呪術、武器となっていた