パチスロの正式名称は、回胴式遊技機と言います。回胴とはリールのこと。リールで遊技の結果を示し、それに応じたコインを払い出すゲームとして定義されています。まあ、最近はリールの結果よりも液晶のほうが出玉に直結しますけどね。

そんなパチスロに欠かせないリールですが、5号機以降は20コマリールと21コマリールが混在しています。一昨日「どうして最近は20コマリールが多いの?」と販社さんに質問されたので、ネタとして即採用させていただきます。皆さんも質問ウェルカム。毎週書くのってネタはいくつでも欲しいのです(笑)。

 

○AT・ART機でよく見る20コマリール

2012年に登場したサミーの『パチスロ攻殻機動隊S.A.C』で採用されて以降、AT・ART機では20コマリールが主流となっています。その理由は「割り切れるから」。

ご存知の通り、パチスロは押した位置から最大で4コマまでスベることができます。0コマスベリから4コマスベリまで、1つの絵柄で合計5コマまでカバー可能ということです。「20÷5=4」どのような打ち方でも取りこぼし厳禁のリプレイや、容易に揃えることができるベルなどのメイン役を配置する際に、20コマリールなら4つ配置しておけば済む計算になります。

まず、最初に5コマをしっかりと作ります。それを3回コピペすれば20コマの出来上がり。コピペなので、この揃い方はダブル入賞してしまうからマズいといったミスも避けられますし、開発する側もラクなんですよね。特に押し順小役でコインを払い出す“液晶メイン”となる機種はこの傾向があります。

 

○ノーマルは21コマが主流

それに対して、ノーマルタイプは遊技機規則の上限である21コマが主流です。その理由は「出目に彩りを持たせたいから」。

20コマリールだと、3リールでの出目総数は8000通りになります。そして、中・右リールはコピペ気味になるので、どうしても単調になってしまうのです。それに対して、21コマリールの出目総数は9261通り。元が8000より9261のほうが多くの出目を用意できるのが大きいのです。まあ、小役狙いをしすぎると似た出目ばかり拝むこととなりますが(笑)。

それでも、アクセントはつきます。リプレイやベルを5つ配置しないと取りこぼしてしまうので、どうしても“歪な箇所”が出てくるからです。これこそが、機種ごとのリール配列の個性になるということですね。その箇所を上手くリーチ目などに活かせているかはさておき。

 

○4号機以前は21コマリールばかり

4号機時代の後半には爆裂AT機も登場しましたが、20コマリールという発想が積極的に採用されることはありませんでした。

唯一20コマで登場したのは、ノーマルタイプの『花火の親方』でした。初心者向きのコンセプトでしたが、リールの回転速度を落としたため3コマまでしかスベることができず、慣れている人にとっても難しくなってしまったというオチがつきました。

 

なぜ21コマが主流のままだったのか? それは4号機以前の遊技機規則に理由があります。ちょっと難しいし、もう知っていてなんの得にもなりませんが、一応書いておきますか。正直、自己満足で書くのでスルー推奨です(笑)。

ボーナス絵柄を配置できる数は遊技機規則で定められています。BIGは“出目の総数の1/1500”です(ジャグ系など2種BBを搭載したタイプは1/750)。

21コマリールの出目総数9261であれば最大6通り。20コマリールの出目総数8000であれば最大5通りです。BIGに赤7と青7があった場合、赤7が「左2:中2:右1」なら「2×2×1=4」。青7が「左1:中1:右2」なら「1×1×2=2」。4通りと2通りを合わせて6通り。このように計算します。

最大で置ける組み合わせなので、これ以下の数字でもOK。ですが、4号機以前は配置されているボーナス絵柄の組み合わせ数と有効ライン数によって、ボーナス確率まで定義されていました。

 

21コマリールの出目総数9261でBIGの組み合わせが6通りの5ライン機なら「9261÷(6×5×1.3)=237.5」で1/237.5が上限。「9261÷(6×5×0.7)=441.0」で1/441が下限。0.7と1.3は許される範囲の係数です。もはや通用しないので、覚える必要はありません(笑)。

ただ、昔から打たれている方は、設定6のBIG確率が1/238や1/240(ユニバ系)ばかりで、『大花火』の設定1のBIG確率が1/431だったことに納得されるかと思います。

20コマリールで同様の計算をすると、5通りで5ラインでも許されるBIG確率の幅は「1/246.1〜1/457.1」とちょっと下がるんですね。7ライン機や、JACインが2回のBタイプにしてBIGの組み合わせを増やした機種が出てきたのは、ボーナス確率を高くしたかったからに他ありません。そんなメーカーの狙いとは逆行することになります。そりゃ、採用するメーカーが少なくて当然でしょう。

 

ちなみに、このボーナス確率の幅の規定は5号機以降で撤廃されています。普通のBIGがある機種でも組み合わせ1通りの1ライン機というものまで登場できたのは、そういうことです。

ということで、ノーマルタイプばかりだった大昔は、ボーナス確率を下げないためにも21コマリールである必要があった。確率の幅の規定がなくなった5号機以降は、出目総数や有効ラインを削って問題なし。しかも、ちゃんとコインを払い出すボーナスなしの機種が主流となっている。20コマリールが主流になったのは、こんな背景もあったのでした。