動画収録の裏側 その3

「TVチャンピオンはかなりガチ、運のいい人選手権だがね」

 同じ民放でも、好評を博したTVチャンピオンはちょっと違った。自分が出た回の1回戦はタイマンの早当ての運勝負だったけれど、やらせは一切なし。
 まあ、深夜ロケだったから、店側の好意でわざと回る台を1台ずつ作ってくれたのも、金銭的な面で問題なかろう。それを見極めるのも(素人さんも混じるので)一応はプライド。
 また、そんな条件をわかった上で、「早く当てるためには、台選びの時間を取らず、釘は関係なしに近くの台ですぐ打ち始める」も戦略の一つ。
 現場に出ている人は、その辺をちゃんと考えていた。それ以外は…知らん!

 クイズもあって、「当たらずと言えども遠からず」みたいな回答には、製作側から業界的に正しい用語を教えて撮り直しもあったが、実戦じゃあないしね。ご愛敬の範囲だ。

 最終戦は出玉勝負。これも運次第だけど、自分はちょっとマジになった。一人は一般の方なので、さすがに心配はないが、もう一人の対戦相手はウチのバンドの名ドラマー、イズミンだったから。
 すでに音楽や麻雀で遊んだりしていたけれど、同じ店でしのぎを削ったことはなかったもんな。
 らしくもなく「俺も雑誌の人になっちゃったけど、まだ現役の部分もあるぜ」
という所を見せたかったのかな。心境はもう忘れたけど(笑)。

 それで、当時和泉プロが得意としていたのがパロディウスという機種。これはワープをしっかり狙うだけで回りに差がつく台だった。
 となると、他の機種でやるのはけっこう不利。で、自分は非行に走って、最初はまだ打ったことがないパロディウスを押さえた。
「釘からいったら、コレしかないだろう」
という台があったから。

 でも、根が小心者なんだろうね、ズルしてる気がして、結局その台は打たず。機種名は忘れたけれど、西陣の西遊記がモチーフのデジパチに座って、ヒキに任せて運勝負を制させてもらった、と。

 そうそう、その最初に押さえたパロディウスは当然和泉プロが打ち(自分が押さえたのは知らなかったはず)、やっぱり千円40回転したらしい。パチンコが簡単な時代だから、そりゃあ同じ選択になりますわな。

 あっ、賞金の50万円(大食いは別格の100万でも、こんな運のいい人選手権で、そんなに頂いていいの? とは当時思った)の内何万かは、バンドの納会ですき焼きとしゃぶしゃぶ食べ放題の店に行き、(わずかながら、非行に走ろうとしかけた罪滅ぼしとして)和泉プロにも還元しときました。