動画収録の裏側 その4

「収録はつらいよの巻」

  TV番組やDVDを見ているファンの方は、動画をどう見ているのかな?
 喋りやリアクション的な、芸人っぽい笑いが楽しい人もいよう。今の演者はすごくそういうのを考えてるみたいだ。
 あんまりそっち方面を重視し過ぎても、アメトークにゃ敵わないだろうが、今はそういうスキルを製作が必要としているのかもしれない。

 シンプルに「液晶をもっと映せよ。演出と当たる所が俺は見たいんじゃ~!」的な人もいるかな。そんな方々、安心してください。今はどんどんそうなってるから。
 理由はまず、釘問題。解説でも「状況がいい」とか「なんとなく雰囲気がいい」ってみんな言わざるをえなくなっているのは、大っぴらに釘に触れられないからだ。

 打ち方も関係している。自分は考えることと、真面目に打つ姿を見せることくらいしか能がないんで、合わせと玉筋、ハンドルをひねるところ&電チューにねじ込むところをしっかり撮ってほしいんだが、残念ながら全部が収録に入っているとは言えない。
(パチンコ必勝ガイドの担当さんSさんやYさんは、それでも頑張って妥協点を探してくれてはいる)

 まあね、専門誌も今やパチンコ村の立派な一員。収録場所を提供してくれるホールが摘発される可能性があるようなリスクは、もう負わせられないってことだ。
 出演者として困ることは他にもある。例えば版権問題。要するに、特定の機種は
「映像で使う時には権利料を払ってくださいね」
というシステムだ。
 おかげで得意とする機種をやるつもりで意気揚々とロケに出向くと、
「化物語はNG機種です」
「戦国乙女はやめてください」
なんてはめに…。

 条件はDVD収録の全部の時間内の何%までなら無料とか、全てNG(大金が発生)とかいろいろなはず。
 自分なんぞは
「台の宣伝がタダできれば、逆にオイシイんでは?」
なんて思うのだけど、版権を持っている会社がパチンコと関係ない場合もある。
 第一
「じゃあ、安プロの原稿や映像も、著作権や肖像権を関係なしに流用して、商売にするよ、いいね?」
と言われたら、自分も
「ちょっとそれは嫌だなあ」
と思うしなあ。文句は言えないだろう。

 困ることその2は自腹問題。いやね、仮にも現場に出ているプロ、またはそれに類する人間が
「自腹は負けるから嫌です」
とは口が裂けても言えない。自分ですらロケを全部均せば、まだまだ負けやしないし。ボーダーを越えるだけなら、ちょっと小細工できれば簡単だ。

 ただ、ホールや代理店の言葉を鵜呑みにして、
「今日は皆さんが言うより割が高いはずなんですがねえ」
(自分たちの力量不足ってことっすかぁ?)
と真顔で言われても、
「いや、素人さんに店側は本当のことは言いませんよ」
と、自分の中の常識で反論はできないしなあ。悶々とするぜ。

 あと、自腹イコール勝てば身銭でもある。これは一見プロには良さげでも、ファンの目というのがあるじゃない。
 知らない人は
「俺たちがわからないところで、何かサービスされてるんじゃないか」
「店とグルで、我々の財布からお金を抜いてるのが専門誌の収録だ」
と思うかも。

 そんなことないんですよぉ~、マジで。9割9分特別に甘くしてくれることはないし(自分もそういう経験は1店舗だけしか知らない。しかも、一度は負け組ライターさんに勝ちを譲る企画の期待値損だし、もう一度は半日ロケで、他よりはマシでも1回交換のボーダーに届かず)、ロケ用に甘くするってのはほぼ幻想なのです。

 でも、自分とて業界内にいる人間。言うことを信じない人もいよう。だから、本音では深夜実戦でいいから、お金がかからない形か、勝っても負けても会社持ちの方がいい。どうせ、自分はロケで私腹を肥やそうなんて思ってないのだから。
 実はオリジナル実戦術がこの形だ。釘を見てから自腹か会社持ちかを選ぶのは不可だが、ホールに入る前にどちらかを選択できる。
 これなら、いつでも胸を晴れる。勝ち分を会社がホールに返却~どこかに寄付でもいいし、社員が懐に入れようが「使い道までワシャ知らんよ」と言えるから。
 昔は
「誌面に出てる以上、能書きだけで逃げてるわけにはいかんだろ」
と必要とされたら、ロケで勝つ姿を見せてきた。それが今は勝つことにも様々なことを考えなくちゃならない。これもコンプライアンスって奴かね、違うか? ははは。