新型コロナについて、暇なので書いてみる…的な(笑)。

実は、前回のコラムの後にもう一つを予約投稿していてそれが7日だかにアップされる予定です。

しかし、新型コロナについては書きたいことがいっぱいあるので、その前にこれを差し込んでしまおうかと。

 

それは、今世の中で騒がれている「検査をしないで感染者数を少なくしているのではないか説」についてです。

 

3月3日時点で日本国内の新型コロナの感染者は268人です。

韓国などは昨日だけで516人も感染者が増えたらしいですし、イランやイタリアも感染者が千人を超えたようなので、日本の感染者は多くありません。

しかし、これに対して「検査をしないことで感染者が増えないようにしている」と文句を言っている人たちがいるわけですね。

 

今回の新型コロナで率先して検査をしない方が良い理由は3つあります。

一つずつ順を追って解説しますが、その前にウイルス感染の検査について簡単に勉強してみましょう。

 

皆さんも病院でインフルエンザの検査をしたことがあるかと思います。

鼻の奥に棒を突っ込んで…とか、口の中を綿棒のようなもので擦って…の、あれです。

で、30分ほどで結果を告げられますが、陰性だった時に「薬を飲み切っても良くならなかったらまた来てください」と言われたことはないですか?

 

実はあの検査は万能ではありません。

確実に感染の有無が分かるわけではなく、感染していても陰性で出ることもあれば、感染していないのに陽性で出ることもあるんです。

感染しているのに陰性で出ることを「偽陰性(ぎいんせい)」と呼び、感染していないのに陽性で出ることを「偽陽性(ぎようせい)」と呼びます。

それぞれ、字の通り「偽陽性=偽物の陽性」、「偽陰性=偽物の陰性」ですね。

 

偽陽性、偽陰性がどのくらい出るかは検査薬の「感度」と「特異度」次第になります。

「感度」とは感染している人を検査して「陽性」の結果が出る割合(残った結果は偽陰性になる)。

「特異度」とは感染していない人を検査して「陰性」が出る割合(残りは偽陽性)。

つまり、それぞれ正しい検査結果が出る割合を「感度」「特異度」と呼びます。

 

この感度と特異度は、感度を上げようとすると特異度が下がってしまう、特異度を上げようとすると感度が下がってしまう…と、両取りができない関係だそうです。

ちなみに、前に気になって医者の知り合いにインフルエンザ検査の偽陰性率について聞いてみたら、わざわざメーカーから資料を取り寄せてくれました。

それによると偽陰性率は8.7%ほど…これは高いのか低いのか。

 

実際にインフルエンザに罹った100人が検査を受けたら、8~9人がインフルエンザではないと診断される…という現実。

恐らく、見逃したときに重篤な結果を招く場合は感度を高めに、そうでない場合は低めに…など製薬会社も色々調整しているのでしょう。

 

さて、今回の新型コロナウイルスではPCR検査というのが行われています。

これの感度と特異度は…不明です。

…が、恐らく感度は高くありません。

どんなに頑張っても80%はないでしょう。

特異度は1%ほどと考えましょう。

(↑この詳細が気になる人は自分で調べてください。論文並みに難しく、長くなります)

 

前提が長くなりましたが、それではこの検査を広くどの人も受けられるようにしたらどうなるか考えます。

昨年のインフルエンザ患者はざっと1000万人。

新型コロナと症状が似ていて不安に思ったから、1000万人が検査を受けるとします。

また、国内のコロナ患者は250人ほどですが、未発見も考慮し10倍にして1000万人の中に2500人の患者がいるとします。

 

すると、検査の結果はこうなります。

陰性=9,897,525人(実際に感染してない人)

陽性患者=2,000人(実際に感染している人)

偽陰性=500人(感染しているのに間違って陰性になっている人)

偽陽性=99,975人(感染していないのに間違って陽性になっている人)

 

これでどんなことが起こるのか…いよいよ3つの問題点の中の一つ目。

多数の検査をすると「医療崩壊」が起こります。

今回の検査だと2000人の陽性患者の他に99,975人の偽陽性患者が出ています。

99,975人は偽陽性で実際はコロナではないですが、陽性患者と区別がつきませんから合計した101,975人に陽性患者と同じ隔離した治療が必要です。

 

何かで入院しようとしてもベッドに空きがないと断られることもある日本の中に、101,975人を隔離して受け入れる医療的な余力はありません。

看護師の手も足りません。

器具も不足して、医療現場は大パニック必至です。

 

次に、問題点の二つ目です。

偽陰性となった500人ですが、検査の結果が間違えているだけで実際は新型コロナに感染しています。

しかし、検査で陰性だったからと自宅療養もなく外に出歩くでしょう。

ライブや、コンサートなど人が多く集まる場所にも行くと思います。

そうなったら、その場所が小さな感染地区(クラスター)になります。

そこからさらに感染は広がるでしょう。

問題点の二つ目は「間違った認識がさらなる感染者を生む」です。

 

最後の三つめは検査の方法について。

現在は厚生労働省が定めた4つの条件のいずれかをクリアしてから、PCR検査をするかどうか保健所と相談する…とかなり検査への道のりは遠いです。

しかし、数万人規模の大規模検査するならインフルエンザのように各病院で対応することになるでしょう。

 

すると、多数のインフルエンザ患者の中に新型コロナの患者が数人まぎれた状態になります。

全ての患者を隔離して診察はできません。

病院のドアを一人が触ったからアルコール消毒を…とか、それぞれの距離を2m以上空けて…なんてとてもできない。

新型コロナの患者が咳をして、ウイルスが付いた手でドアノブ、壁、問診票を書く時のペンに触り、他の患者に病気をうつすことになります。

 

三つ目の問題は「病院が新たな感染地になってしまう」です。

中国や韓国はこれで感染者を爆発的に増やしています。

病院に安心を買いに行こうとして、実際に新型コロナに罹ってしまったら元も子もありません。

 

以上の三点から、多数のPCR検査をするのは問題を大きくするだけだと思います。

なぜか非難されていますが、政府や国立感染症研究所は優秀です。

韓国、イタリア、イランなどを見れば、日本の感染者数が増えていないのは明白です。

 

…まあ、「大規模検査をしたら」なんて、そもそも一日に可能な検査数は4000まででそれ以上はできないのですけどね。

この4000をどこで消費しているのかは分かりませんが、一般ではなく医療現場だったら良いな…とは思います。

 

私たちが大した感染リスクもないのに「トイレットペーパーがなくなる!」などと大騒ぎをしている裏では、医療現場や国立感染症研究所の方達が実際の患者を前にして体を張って私たちを守ってくれているのです。

 

この検査の感度は高くない。

今日は陰性でも、明日は陽性になるかもしれない。

そんな不安を拭うために、この4000で定期的に検査を受けてくれていたらと思ってしまいます。

 

東日本の震災を見ても、多くの日本人は理性的で、利己的な考えの人は少ないです。

また、公衆衛生の意識も高いので、それほど感染の危険はありません。

言い方は悪いかもしれないけど、罹ってしまったらそれは運が悪いくらい。

 

病院は本当の新型コロナ患者と接触する危険が高いです。

できるだけ、病院には行かず、体調が悪くても3~4日は自宅療養してみてください。

それで症状が悪化したり、数日でも良くならなかったら病院です。

しかし、病院では細心の注意を払うことをオススメします。