別媒体のネタ作りで行ったのもありますが、悠遊道では既に渋滞気味なので“ゲームセンター タンポポ”のことは触れないでおこうかと思います。
あっ、でも一言だけ。機種が古すぎて楽しめるか分からないから……という方も行って損はないかと思います。機種を楽しむゲームセンターという一面もありますが、昭和のパチンコホールを体感できる“テーマパーク”だと感じました。機種なんて知らなくても大丈夫。私だって現役時代に打った機種は片手で数えるほどでした(笑)。
ということで、相も変わらずネタに四苦八苦しております。前回のエントリーにコメントをくださった方々、ありがとうございます。ちょっと調べることが必要そうなものもありましたが、なんとか私風味にトライできればと思っております。
さてさて。今回は、安田さんからLINEでいただいた「ライターの仕事」というネタです。とはいっても自分のやり方しか知らないんですよね。そして、それが一般的かというと……分かりません。が、こういうものは誰かが先に書かないと「自分と違う!」ということも聞けませんし。書ける範囲で書いてみようかと思います。
機種ライターは単に書けば良いってものでもないんです。最近すっかりコラムライターになっていますが、昔取った杵柄でも。
○機種ページ
攻略誌の中心ともいえる新機種や人気機種のページです。ここでは新機種ということにしておきましょう。まず、メーカー取材に行ってネタ集め。帰りに編集と打ち合わせをしてページの方針を決めるところまでは同じかと思います。
基本的には無記名原稿。主観を捨てて客観的に書くのが是とされます。ですが、ひっそりと自分の主張を入れたりもしますけどね。この辺りは、全体の編集方針との兼ね合いになります。許されるならば、腕の見せどころ。
機種ページを作るパターンは概ね2つに分かれます。1つは編集がページの仮構成(ラフと言います)を作って、デザイナーが仕上げ。出てきた文字量を伝えられて、ライターが書くパターン。
もう1つは、ライターがページの構成も作ってしまうパターンです。アドビの製図ソフト(イラストレーターなど)を使っていれば、そうそうズレることはないので、文字量の見当が付くというか。先に文字も入れてデザイナーに渡すことも。
私は後者のパターンでした。製図ソフトで作るのに、私は大体1ページ1時間を目安にしていました。エクセルを使った計算によっては、もう少し時間はかかりますけど。全体の構成部分は、作り出す前に頭の中で構成を描き続けておいて、作業に入ったらパッとが理想。
メリットは、文字を自分で書くと想定して作るので無理なカコミがなくなること。いや、あるんですよ。編集がネタに困ってGOGOランプの写真1枚で400文字近くの文字BOXを置くとか(笑)。それは冗談にしても、ライターごとに切り口の得意不得意はあります。
また、デザイナーと同じソフトで作って渡すので、ミスを減らせるというのもあります。デザイナーがパチンコ・パチスロに詳しいとは限りません。機種ページに製図ソフトを使うのは、知識のない人にミスらせないようガチガチに縛るためでもあるんです。それでも「着色される前がベストだった」と思うことは普通です。
後者のデメリットは、機種によってはライターが独りでネタに苦しむこと。その恐怖からかカコミを作りやすい計算など、いろいろできるようになります。私は困ったら2000Gでベルが100回出現した際……などの設定推測でカコミを作っていました。長い目で見れば、いろいろできるようになってメリットかもしれません。ウトウトするとページが真っ白なまま印刷される悪夢も見ますけど(笑)。
機種ページの構成は、パズルのような作業になりますが。私は後ろから作ることが多かったです。4ページモノなら4ページ目の下からですね。そこまでに書くことのまとめ的な位置になります。結論を先に決めると、その前に書かねば行けないことも決まります。
この作り方をすると、最後に作るのが1ページ目の先頭ということになります。筐体写真やタイトル、飾りの写真などがある部分。ここがもっともスペースの調整をしやすいんですね。ネタが多い機種なら写真は少なめ。少なければ多め。私は、写真が少ないとよく怒られていました。だって、ネタ作っちゃうんだもん……。
こんな機種ページの作り方なんて誰得と思うでしょ? 文章の構成を学ぶには一番なんです。ブログなどやられている方は、真似事でも軽くやってみると良いですよ。漫画家さんに文章も上手い人が多いのと同じで、全体の構図を考えるようになるからです。
○WEBの機種ページ
いまWEBで外注ライターに発注しているところはあるのだろうか。基本は編集が作っているかと思います。少なくとも、文字だけ書けばOKというところはないはず。ページを埋めなくてはならないという無理なネタ作りは不要ですが、不得意な機種でもソツなくこなせるスキルは必要です。
こちらのデザイナーにも間違わせないような納品は必要ですが、製図ソフトを使う必要はまったくありません。写真と絵柄の指定ができれば良いので、エクセルとかでも問題ないかと思います。私はそうしていました。
○機種ライターのスケジュール
安田さんからは「誌上プロと違うスケジュールや行動」と聞かれているんでした。
誌上プロの連載など読ませる企画モノは、私の雑誌だと締切が早かったです。印刷所は一気に大量のページを送られることを嫌います。機種ページは、機種の発表タイミングなどでギリのギリまで作れないこともあるので、先に作れるところは突っ込んでおこうということです。
行動に関しては、どれくらい機種を抱えているか。締切までのスケジュールにもよります。打てないと話にならない(昔の雑誌は、演出の発生頻度まで実戦で取っていた)ので、勝てるところよりも新台を入れるのに座れるホールに詳しくなっていきました。当然、勝てません(笑)。
また、締切前の10日とかは打ちに行けないので「続きの稼働」というのは、絶望的です。機種ページをやり過ぎると勝ち組からは離れていきます。
WEBはまだ時間の融通はききますが、それでも取材がいつ入るか分からないですし。普通に稼働できる仕事量であれば、ライターとしては生活できないかと。WEBは雑誌よりも単価がお安いので。そうそう。「昔は実戦で取っていた」と書きましたが、雑誌の機種ページがどんどん実戦から離れていっているのもライターの苦難に繋がっています。データ取りでも仕事になりますからね。
編集のほうがお給料は安定しますが、プロやそれに類似する生活を送っていた場合、ほぼ間違いなく収入は下がることになります。
○企画ページ・連載コラム
ページの作り方が実は違います。いや、私は字が汚いこともあって製図ソフトを使ってしまっていましたが。「あくまでイメージです。同じにしないでください」とデザイナーに渡していました。
企画ページや連載ページは“読み物”でして。雰囲気を伝えるのにデザインセンスが必要となってきます。印象的な写真を何枚か。その大きさや配置はデザイナーに勝てるわけがありません。なので、紙で書いたものを渡すくらいのほうが理想です。ちなみに、いまの『パチマガスロマガ』は、編集さんが元を作ってくれました。『パチスロ攻略マガジン』のときは紙ラフを写メで送っていました。
企画の中身については、必死で考えるほかありませんね(笑)。「こういうのをお願いしたい」とオファーがくるまでに普通は早くて数年かかります。企画を提案してナンボ。企画提案をするのが苦手というパチンコ・パチスロライターが多いですけどね。ほぼ自省のために書いております。
ちなみに。パチ7の編集長と初めて会った際は、こちらからやりたい企画を3つほど持ち込んで、向こうからもやって欲しい企画を提案されて。折衷案でお互いの案の1つずつを始めることとなりました。企画を出すときは出します(笑)。
○編集との攻防(書き直しなど)
こんな怖いことを率先して踏み込む人間ではございません。安田さんからのLINEにあったので(笑)。
ガイド系のように文字に厳しいところにいなかったのもありますが。書き直しらしい書き直しって、1回しかないかもしれません。実は最近のことで『パチスロ攻略マガジン』での連載でした。「自分が不勉強だからか、分からないところが」と申し訳なさそうに言われまして。自分でも詰め込み過ぎだと思っていたので、要素を削ったりするなど直しました。もうね、感謝しきりです。そのままだったら伝わりにくかったに決まっていますから。
元は編集でキャリア前半が無記名の機種ページばかりだったというのもあるかもしれませんが、編集と私の文字で攻防を繰り広げた経験が少ないんです。その代わりページ構成では山ほどあります。たった1ページのために4時間激論とか(笑)。
実は、そこまで文字にこだわりがないのかも。内容を変えられなければ、多少いじられても気にしないですし。媒体ごとに言葉遣いなどのルールがあって、複数で書いているとそれを完全に使うことは困難なんですね。鍵括弧が普通なのか、二重なのか……とか。この三点連記も2つなければいけないのか。なので、勝手に直してくれたほうがラクというのはあります。
嫌いな表現に直されることもありますよ。最初の雑誌では「おこなう」を「行なう」とされました。もうね、そこから「おこなう」とならない文章の組み立てばかり考えるようになりました(笑)。
直しに柔軟(?)となったのは、すぐ切られても不思議ではないフリーとしていろいろな編集部と仕事をしたからかもしれません。場所によって「記名原稿は誤字脱字も直さない」という方針のところもありまして。
ミスは自分のせい。そうも割り切れますが「ライターと編集は、協力してより良いものを作る」のが理想だと思っています。記名だろうが、その文章の最終責任は編集部ですし。結果的に悪くなる直しをされてしまった場合は、どうやったら同じことを繰り返さないか。そちらを先に考えてしまいますね。
まあ、ただ。口を出さないと(直さないと)仕事をしていないと思ってしまう人には要注意です。その手のは怒りのメールを書いたことがあります(笑)。
○大事なのは文章の存在意義
私が文章で大切にしているのは、格好悪いけど丸い言葉なら“イイワケ”。格好悪すぎるか。でもね、無記名の機種原稿なんて「なぜその機種がこの世に存在するのか」というイイワケみたくなるんですよ(笑)。
堅苦しく書くと“大義名分”です。なぜ、その文章がそこにあるのか。どういう人たちに何を伝えたいか。それがそこの読者さんにマッチしているか。これを考えていくと、自ずと書き方って定まるんです。
この文章の存在意義はって?
さすが安田さん。LINEでいただいています。「もし今、演者でない書き手志望者がいるなら、喜ぶかも〜」いたら嬉しいですね。相当に難しい道なので、編集になることを全力でオススメしますけど(笑)。
職業、つまりプロとしてのライターさんはやっぱり、どこに何を書くかで書き方を変えてらっしゃるんですね。その中で文章に個性を出す。大変なことですね。
大崎一万発さんが言ってました。今の時代ハコが変わってしまって原稿に対するニーズがないのだと。ともすれば邪魔にさえ捉えられていると。パチンコ文芸誌を作っても全く売れないだろうと。
確かに映像ありきの時代、演者の表情やリアクションの方が簡単、分かりやすく伝わる。文章を読む煩わしさもなく、行間を読み解く力も必要ない。自分を鑑みても女性ライターが面白おかしく画面に現れるだけで、他に何もいらないかなとさえ…。
毎号買ってる必勝ガイドも飛ばし読みすればまだいい方で、DVDしか見ないことも、一時期本誌がDVDの付録だと思ってました。自粛の影響で新作動画が作られなくなりようやく文字を読むことを再び始めた次第。
大崎さんは動画制作には何のエスプリも含蓄もないが、それでお金になるならその方が楽でいいと。ご本人は編集者出身だし書き仕事辞めると馬鹿になりそうだから書く仕事は続けたいのだと。1日がかりで書いても八千円程度。映像仕事と比べると労力と収入が見合わない。それでも辞めたくないと。
安田プロが仰るような書くパチンコライターは現れるのでしょうか、雑誌自体の流れもそこから遠ざかっていきつつあります。グラビアだもんなあ…そしてそれを歓迎する自分…雑誌やテレビに限らず、当のパチンコそのものが向いてるのがそちらの方向なのでは…だからタンポポさんのような場所が注目される。
パチンコライターという肩書きは、もはや何を指す言葉かすら危うくなっています。書かないパチンコライターさんに新たな呼び名を付けて、はっきり差別化してもいいのかなとさえ思います。
師匠や安田プロ始め悠遊道のライターの皆さんが、書き続けていってくださることを願ってやみません。悠遊道がまだ半ばにも至っていないことを信じて…。
20年くらい前の話ですけど、大花火究極攻略という増刊号で、かぎや〜!!ランプの写真1枚に「33W×13L」つまり429ワードのカコミネームを作られたことがあったんですよ。正直言って文字数が多すぎますけど、それでも書くのがライターの仕事なのだと学びました(笑)。
当時はまさか、20年後に機種物を書く仕事がほぼなくなるなんて考えもしなかったんですが、これも時代の流れというやつでしょうかねぇ…。
さっそくのテーマ採用、ありがとうございます。
「やっぱり自分たちとは違うんだなあ」と目から鱗の内容でした。
2回に分けてもいいくらいのボリュームですが、筆が乗ると止まらない辺りは共感します。
書き直しは私も7月に3度ありました。
ガイドの連載は担当との阿吽の呼吸があるし苦でもないのですが、
一般向けの記事はけっこう手探りで、まだまだ師匠の足元にも及ばずです(-_-;)
あと、カコミは私の場合、少ない文字数指定が苦手です。
>匿名さん
匿名なのがもったいないと思うほどのコメントありがとうございます!
悠遊道のメンバーって、そもそも書くことが好きだと思っています。選ぶ苦しみが同じといいますか。大崎さんの仰る動画の話。動画は行ったら終わります。逆に言うとロケ中に結果を出さねばなりません。反射神経が問われるんですね。文字の仕事はその逆で、瞬発力はいらない代わりに最終の締切まで直せる。ずっと頭の中に留まり続けるんです。気が休まるときがないんです。どちらも苦しいですが、得意不得意はありますね。
需要もあって、商業誌では書くライターは難しいと思います。でも、こうして「書ける場」を用意してくださるのはありがたい限り。書くことが好きなメンバーがこうして集るのは、安田さんの人徳というか、背中だからだと思います(^^)
>ドラゴン広石さん
先輩の前でお恥ずかしいです(汗)。
その『ハナビ』の無茶なカコミがあったの覚えています。GOGOランプの無茶ぶりのときに、いつぞ見たガイドの『ハナビ』よりかは書けると言い聞かせました(笑)。ラフを切りまくっていたので、その大変さも分かるというか。統一感のために編集さんが組んだムック本の4号機『黄門ちゃま』24Pですべてに本文組みがあったときは気合いで乗り切りました。似たような話が書き方や視点を変えて何度も出てきましたけど。
無記名の原稿から学ぶことも多く。誌面のように文字数の制限があると、なおさら学べると思っています。広石さんも文字数の話を書かれていましたよね。文字でデビューする若者の文章を見ることもありますが、文字量フリーのWEBに慣れすぎていて「あれもこれも」と分散してしまう傾向を感じています(汗)。
>安田一彦さん
テーマありがとうございました。書けば書くほど、私って編集寄りだなと痛感した次第です。書ききったのは、複数回にわたって書く昔話など以外で分けるのが苦手なんです。私ごときが結論まで一気に行かないと、佐々木の分際でもったいぶるな……と石を投げられそうで。そう思っているうちに、引っ張るのがますます苦手に。なので、一応は結末まで。こぼれ話を思い出したらいつか書く。そんなスタンスとなりました(笑)。
一般向けなど、呼吸が定まっていない編集部への納品は私も頭を悩ませます。向こうは「詳しい人」という認識しかないことが多く。「多分、私じゃない」と思うことは多々ありました(最近、一般はご無沙汰なので)。これが専門媒体だと「この方向は、この人が向いている」とか、編集部で判断して発注してくれるのですが。オーダーがしっかりしていないと、苦しむのは書くライターです。自分ならではの視点というオーダーをもらえれば意気に感じますけど。とはいえ、細かい違いですし、一般媒体にそこまで分かれというのは酷な話とも思います。もう書くことを楽しむしかないかなと(汗)。
あっ。「ライター的に嬉しい編集」というお題を派生して思いつきました(笑)。