かつて4号機時代、パチスロ雑誌のデータマンにとって、小役カウンターは実戦の必需品でした。機種物の記事を作る際には、当然のことながら「千円あたりの平均消化ゲーム数」を掲載する必要があるんですが、当時はメーカーさんが各種数値を教えてくれたりしませんでしたから、実戦中に自力でカウントして「各小役ごとの抽選確率」を調べていたんですよ。

まぁ、4号機には差枚数カウンタを採用している機種が多く、それらは例外なく「小役補正機能」を搭載してましたから、5号機のように設定推測要素にはならない…つまり、一般プレイヤーは小役出現率なんて特に気にする必要はありませんでしたけどね。ゆえに、小役カウンターをポチポチやりながらパチスロを打っている人は、間違いなくパチスロ雑誌の関係者でした。

 

当時、小役カウンターのスタンダードだったのが、この商品。

元祖小役カウンター「パチパチくんα」。この超絶便利なアイテムによって、データ取りの難易度が激変しました。

当時は小役をカウントする際に、台の横にコインを積んでいたんですが(私が入った当時のガイドもそうやっていました)、手持ちのコインがまだ何十枚もあるのに、小役をカウントするためだけに買い足すのには心理的な抵抗が半端ありませんでした。しかも、等価交換ならばまだしも、当時は7枚交換が主流でしたから、正直言って断腸の思いでコインを積んでいました。

だけど、パチパチくんαのお陰で我々データマンは苦行から解き放たれたんです。

 

最初にこのアイテムを使い始めたのは、パチスロ攻略マガジンのスタッフさんでした。あれは確かサンダーV(初代)のデータ取りだったと思います。たまたま同じ店でデータ取りをする羽目になり、彼らの様子を横目で窺っていると、小役が揃うたびにピンク色の物体のボタンを押しており、よくよくチェックすると、どうやら小役カウンターになっているみたいでした。

はっきり言って衝撃的でしたね。なんて便利なアイテムなんだと。そして、その詳細を編集部で吉良さんに報告したところ、だったら是非ともガイドでもデータ取りに導入しようという話になり、製造元の会社(株式会社サプライズ)に連絡して大量に購入しました。たしか単価が3千円チョイだったように記憶してるんですが、自分達データマンには編集部から無償で支給され、長いことデータ取りの主戦力として活躍しました。台から落としただけでデータが飛ぶし、頻繁にエラーも起きる困った仕様でしたけど、パチパチくんαのお陰で労力が激減したのは間違いありません。

 

その後、時が流れて5号機時代になると、小役カウンターは実戦の必需品となります。そう、5号機では設定によって小役出現率が異なる機種が増えたため、小役出現率で設定を推測する立ち回りがメインになったんです。その際には小役をカウントするアイテムが必須なわけで、それにいち早く注目した辰巳出版(パチスロ必勝本)は「カンタくんS」を製造・販売しました。その後、パチスロ必勝ガイドも「勝ち勝ちくん」をリリースしますが、後発品なだけあって、勝ち勝ちくんの方がカンタくんに比べて遥かに使い勝手が優れていました。もちろん贔屓目なんかじゃなく、実際に両方を使ってみての素直な感想です。以後は両者とも改良に改良を重ね、当初はゲーム数をカウントして各小役の出現率を算出する程度の機能しかなかったのが、今ではリンク機能の搭載や押しミス防止機能(ボタンを押すとLEDランプが光る)なども追加され、元祖パチパチくんαとは比較にならないほど高性能な小役カウンターになりました。

しかし…時が流れて6号機時代になると、小役カウンターの必要性をほとんど感じなくなりました。その第一の理由が、小役出現率が全設定共通の機種が増えたこと(AT&ART機)。小役出現率が設定推測に役立たなければ、わざわざカウントする意味がありません。第二に、モバイル連動サービスに登録すれば自動的にカウントする機種が増えたこと。これなら押しミスもないし、機種によってはチェリーやスイカの種類まで区分してくれて至れり尽くせりだったりします。実際、新ハナビにユニメモが搭載された時点で、小役カウンターは不要になったと感じましたね、私は。

 

これは、私がこれまで使ってきた勝ち勝ちくんの一部。大半はデータ取り用にガイド編集部から支給されたものです。

 

一方、こちらは私が自費で購入したもの。キャラクターとタイアップしたプレミアム商品ですね。

 

おそらく、今後は勝ち勝ちくんも不要になると思いますが、小役カウンターにも歴史があるということを、パチスロライターの視点から書き記しておきたい…と、そういう意図で今回のコラムを執筆しました。最後までお付き合いいただきまして、誠にありがとうございます。

おしまい。