時代を超えてパチスロを代表する機種といえば何でしょう?
多くの人がジャグ系と答えるかと思います。たまにテレビのニュースで違法賭博店の摘発が話題になりますが、その時に撮られる映像も、最近はほとんどがそのセンターにジャグ系を収めています。マニアに向けてどうこうではなく、世間一般の「パチスロといえばこの機種」という立ち位置がジャグ系ということです。
ただ、一朝一夕にしてジャグ系がパチスロを代表する存在になったのではありません。むしろ初代のデビュー時は、リーチ目でボーナスを察知するのが是とされていた時代で、GOGO!!ランプの豆球が抜かれているホールも多々あったくらいです。
それがなぜパチスロの中心となっていったのか。私は、変えなかったことだと思っています。
機種の分かりやすい内容だけでなく、サウンドも大きな理由を占めているのではないでしょうか。みなさん、ジャグ系のBIGのサウンドを想像してみてください。ほぼ全員、同じメロディーが頭の中になっているかと思います。では、それは聴くのが難しいものですか? ゾロ目ゲームでの連チャンもありますが、基本的には初当たりで必ずあの曲が流れてくれます。
「このメロディーを聞く=BIGが当たった=メダル(お金)が増える」心理的にはこのように紐付けられます。“パブロフの犬”状態なのです。ただ、いきなりメロディーが流れるだけでは、紐付けられることはありません。長年トレーニングを繰り返すことによって、そう躾けられたのです。
大事なのは「長年」と「繰り返し」。まず「長年」から分析してみましょう。ジャグ系のBIGのサウンドは1996年に登場した初代から基本は変わっていません。25年以上もゲーム性だけでなくサウンドも同じなのです。次に「繰り返し」。BIGを引けばほぼ流れるわけです。1日に自分の台だけで30回程度は聞くことができます。
いや、ここ10年くらいの機種でよく思うんですよ。揃った図柄ごとにサウンドが違うと1日に10回ずつしか聴けないって。それ以外にもゴチャゴチャと条件を付け過ぎて、聴きたい曲を狙って聴くことがほぼ不可能です。そんなんで「アレが聴きたいからまた打つ」なんて思わないですし、なんならyoutubeとかで探したほうが手っ取り早いし、音もクリアです。もうね、いろいろと楽曲を搭載しまくるのは、開発者のエゴだと思うのです。なら、自信のある曲だけ何回も聴かせてくださいなと思います。
あと、曲を変えないことによって、初代がデビューした4号機の時代の良さがそのまま閉じ込められていると思っております。
現在、スマホなどでの音楽の再生能力は非常に高いものがあります。ただ凄ければ良いわけではありません。パチスロに限らず、古くから音楽を考えてみると時代を超えてスタンダードとなる曲は基本的にシンプルなことが多いんです。言い換えるならば“情報量が少ない”楽曲。逆に“情報量が多い”音楽は、その時代的にスマッシュヒットとなりやすいですが、時代を超えるスタンダードにはなりにくいと思っています。情報量が多いだけに時代を反映してしまって、それが変われば古臭くも感じてしまうというか。
今のパチスロって、情報量の多い音楽ばかりだと思うのです。再生できちゃうから。しかし、4号機初期はそうではありませんでした。ガラケーで3和音や4和音が限界。情報量でいえば、比較的少なかったのです。
それだけに耳に残るんですよ。何回も聴かされるので覚えてしまうんですよ。また聴きたくてつい打ちに行っちゃうんですよ。
どういうサウンドかというと初代ファミコンの音源を想像してもらえると分かりやすいかも。ファミコンからスーファミ・プレステとハードを変えて進化していきました。音楽の再生能力も進化していきました。しかし、当時のパチスロはメイン基板しかなく、プログラミングの容量も限られていました。
なので、ゲーム音楽は進化して変わっていく中、ガラパゴス的にパチスロだけが3和音や4和音のサウンドを深化させていったのです。その中で生まれた楽曲の一つがジャグ系なのです。
類似機種が出てきても、ファンがまったく見向きもしないのは、サウンドを長年繰り返し聴かされてきた教育の賜物だと思わされます。
ジャグラーの曲は頭に残りますが、楽曲としての完成度が高いとは思えませんよね。格好良いわけでも、可愛らしいわけでもなく、ちょっとへんてこりんな曲とリール図柄。ジャグラー登場時期の同メーカーの他の機種もそんな感じだったので、メーカーとしてのコンセプトがあったのでしょう。
個人的に、ジャグラーが生き残ったのは、「たまたま」だと思っています。5号機の規則(当たりフラグは取りこぼさない)に合致したのが完全告知機であり、従来無かったチェリー重複のバーテンパイという2確も作られました。その後アイム7、ジャンキー、アイムSPなど失敗作もありましたが、APEXでようやく初代に回帰し、これの後継機を基盤として、マイ系などをうまく育て上げてきたと思います。6号機は冒険していないのが残念ですが、ようやく新しいのが出てきそうで楽しみにしています。
5号機初期は迷走してる感が大きかったなかでハッキリとコンセプトも内容も変わらないジャグラーが打ちやすかったのは事実かなと思います。
面白い台はあったと思いますが、特徴を出そうとしすぎたというか。そういう意味で「変わらない」が支持されるタイミングと合致して変わらないことの良さが続いている気がします。
アクロスやナイツなど、変わってはいるけど根本の部分というか打ち手が納得できる変化のみに抑えられるように進化してるものも評価されていると思います。
でも「サウンド」は昔のサウンドをわざわざ選んで(目押ししてともいう)聞いてる人がいるのは、やはり聞きたいからなのでしょうね。