浅草に住んではや10年くらいになる。その間にいろんなことがあったけど、いよいよ引っ越すことにした。

とはいえ場所は浅草のすぐ近くで、その気になればいままでのよすがに立ち戻ることも余裕でできる。けど、枕の場所がすこし変わるだけで、筆者にとっては大きな変化だ。そして我々のようなパチンコ・パチスロ打ちにとっては、家から一番近い場所にある「マイホ」の場所が変わってしまうのが少し問題と言えば問題かもしれない。なんせ新しい住処のいちばん近くにあるホールは寂れも寂れた、決して勝ちにこだわるタイプの人が贔屓にするような店じゃないし、だったら少し足を伸ばして、上野か、秋葉原か、あるいは北千住まで行ったほうがいい。

そう、筆者はここ十年以上ないレベルで「マイホ」がない地域への引っ越しをする。

引っ越しの際には、やれスーパーの場所はどこかとか、保育園はどこかとか、あるいは定食屋や、コンビニや、それらの位置を確認した上で「住みやすい」「住みづらい」を決めるんだけど、いままで当たり前に徒歩圏内にあったパチ屋がない地域に、筆者史上初めて越すことになった。

これはある意味でパチンコ産業の衰退と店舗数の減少の影響もあると思う。

確かに筆者が引っ越す場所は日本有数のパチンコ激戦区のすぐ近く、というか外縁に位置する場所で、なんなら10近くの店舗があった場所だ。日本中をつぶさに観ていったとて、そこそこ上位の「パチンコの街」であって然るべきところなのだけど、だが、今現在は「徒歩圏内にパチンコ屋が(あるにはあるけどまあ勝てない)地域」になってる。

思い起こせば筆者は引っ越す際に、パチ屋が近くにあるか、勝てる店が近くにあるか、で場所を選んでいたけども、今回はそういう単純な話じゃないので、愛する嫁さんのリクエストの赴くままに場所を決め、いよいよ引き返せなくなったタイミングで「あら、まともなパチ屋がないぞ」となった次第。

これって結構象徴的な話だと思う。

だって、少なくとも筆者がまだギンギンだった三十代の頃までは、日本中どの駅の前だってそこそこ食えるパチ屋があったもんだ。

場所が良ければ人が集まるし、集まれば釘をあけるなり、設定を上げるなりするじゃないか。そうやって入る金と出る金の循環で利ざやをとってやってきたのがパチ屋なんだから、なんにせよ立地が良ければ食えたハズなんだけども、翻って筆者と妻が決めた生涯の「終の棲家」では、そうじゃない。否、つい5年前までは、この辺でも全然パチ屋が一杯あったのに、それらはいつの間にかなくなってしまってる。

こういう仕事をしてるから「店舗数が減ってるぜ」「業界が縮小してるぜ」「やばいぜ」みたいなのは日常的に見る単語ではるのだけど、いやぁ、日本有数の激戦区だったところが、ここまでぺんぺん草一本生えない「パチンコ不毛地帯」になってるとは。

引っ越しを決めてはじめてゾッとした次第。

とはいえもう契約も終わってるし色々お金も支払っておるのでこの場所に住むのは確定事項ゆえ、ああ、筆者はパチンコを打つのに、いよいよ電車に乗ることになるのかも。と、人生初の不便を考えながら、一方でデータ上でのみ語っていたパチ屋の減少を、いよいよ身をもって知るのだった。

これも時代の流れだよ。