前編はこちら

続き物の後編なので、前置きフルカットでこのまま本題へカモンべいべっ

前編のおさらい

高校の悪ガキ仲間8人で学校を早退し、集団でそのまま原チャリに跨って向かった先は、峠を越えて隣県のリニューアルオープン。17時開店の21時閉店を打ち切り、なんと勝率は100%!8人とも勝って絶好調最高潮!意気揚々とホール近くのラーメン屋で祝勝会を終えて、外に出たのが22時過ぎ。

( ゚Д゚)「豪雨やがな!」

この時点になってやっとバカ達は気付く。春先とは言え、もう夜で気温は低い。全員半袖。豪雨。そして、その中で今から夜中の峠越え。「遭難」という言葉が現実味を帯びる。

藤木くん

勝った金があるなら、近場のカラオケとかで時間を潰して雨が上がるのを待つという手段もアリだったと思うのだが、そこまで頭が回るなら最初からこんな行動はしていないのだ。ちなみにこの時代にはまだ、マンガ喫茶的なモノはない。

( ゚Д゚)「進軍開始ぃ?!」

ラーメン屋を出てから20分ほど。まだ街中ではあるが、春先の夜中に豪雨、さらに半袖シャツは十分ヤバイ。この時点でもう全員がちびまる子ちゃんの「藤木くん」が追い込まれた時のような表情に統一されていたのは、想像に難しくないだろう。
峠に差し掛かる所に和歌山県側最後のコンビニがあり、とりあえずそこに吸い込まれるびしょ濡れ唇紫軍団。

( ゚Д゚)「あかん!これはマジで死ぬやつ!」

床を水浸しにして迷惑この上ない8人に対し、コンビニ店員も「マジ死ね!」と思っていたことだろう。

神アイテム

本日の勝ち頭である猪木がホットコーヒーを買おうと店内をウロウロしていると、一角に「とある神アイテム」を発見する。

(猪・∀・)「かっぱ!かっぱ!」

やたらと大声でカッパカッパ言ってるので、とうとう脳神経までヤラれたのかと…遠くから憐れみの眼差しを投げかけて傍観していたが、この判断が超裏目に出る。
猪木の他数人もカッパカッパ言い出して、ウキウキで商品をレジに持って行く。そう、雨合羽だ!おお!それがあれば峠越えもマシだ!8人全員が喜んだのも束の間、売り場にあったカッパは3つのみ。店員に聞いてもストックは無いとの事。無慈悲。8人のうち3人だけカッパGETで峠チャレンジに突入となる。
しかし神様は見てるもので、コンビニを出た直後…カッパを見せびらかすように蛇行運転していた猪木が見事に滑ってコケて、カッパ全損ww

( ゚Д゚)ざまぁ!

45分ぶり2度目

カッパ着用2人・半袖シャツのみ5人・カッパが破れて一反木綿みたいになってるバカ1人で峠に入る。一気に落ちる空気の温度は想像を遥かに超える冷たさで、まず手が痛いのよ!いやもちろん身体もバチバチに冷えるんだけど、両手が冷たくて痛くて感覚がなくなるやつ。
峠に入って10分も経つと、もはや命の危険を感じる状況になるが…止まったところで何ら良くはならないので止まらない。壮大な我慢大会with命がけ。この時点でだいたいもう23時は過ぎてたと思われる。
峠の折り返し地点を過ぎ、後は下りに入る。イニシャルDっぽく言うとダウンヒルだね。登り坂だと、非力な原チャリではアクセル全開にしても大したスピードは出ないが、下り坂になると一気にスピードが上がる。各々がヤケクソで一刻も早くこの地獄から抜けるために、ハングオンしながらコーナーを攻める!のだが、濡れた路面が功を奏し…猪木が45分ぶり2度目の横滑り。マリオカートで亀を投げつけられたキャラみたいにクラッシュして左腕流血here we go!!
そして一反木綿状態だったカッパを脱ぎ捨て、自ら半袖シャツに戻る。やっぱりアンタは漢だよ。

リビングデッド

ダウンヒルに入ってスピードアップした一行は、夜になって通行量が増えたトラックに怯えながらも…そのまま何とか命からがら大阪側の街に下り、コンビニで小休止しようと止まるが、ここで全員見事に身体が痙攣してるかのような震えと、手の感覚の消失に襲われる。運転してる時は根性でアクセル回してた右手が、コンビニの引き戸を引っ張れないのである。

( ゚Д゚)「うげ!なんだこれ!」

まさに笑い事じゃなく低体温症ってやつなんだろうけど、無事にコンビニまでたどり着いた安堵感なのか、全員でゲラゲラ笑いながらドアを引っ張ろうとして失敗を繰り返す。これって、中の人から見ると…やたら顔色の悪い集団(1人は流血)が笑いながらドアをごそごそしてるんだから、さぞかしホラーだった事だろう。緊急通報ボタンを押されなかっただけ幸運だ。
皮肉なことにココでは雨合羽が人数分以上揃っていたが、ここまで戻ればもう大丈夫だと判断して、しばらくコンビニ内である程度体温を戻して再出撃となる。

お風呂最高

たかだかパチンコ打つために、マジで命の危険に直面するとは思わなかったが、これも若さ故の過ちである。全員勝ってたからまだ笑える(普通の人の思考回路なら笑えない)が、まぁコンビニを出てさらに10分ほど進んだ先の24時間銭湯に全員で浸かって、ホッと一息。

( ゚Д゚)「いやーまいっちんぐだったねーhahahahahaha!!」

湯船でのぼせるくらい暖まり、腰に手を当ててコーヒー牛乳を飲み、併設のコインランドリーで全員分の服や下着をまとめて一気に乾燥させたのを着直し、外に出た頃には雨も止んでいて爽快っ!
明るいところで見ると猪木の左腕がかなり切れていたが、それ以外は大団円。もうその銭湯からは遠い奴でも30分くらいの距離なので、自然にそこで解散となる。時刻は深夜1時をまわっていたが、普段からめちゃくちゃな高校生達ばかりで…なんら無問題。帰り道で警察に止められたら面倒くせーって事くらいか。

猪木欠席

翌朝、出席だけはちゃんとする謎のしきたりに従い、こんな事があった後でもキッチリ朝から定例新装会議を行う…が、さすがに猪木はケガと風邪でお休み。
この日も昨日の店が、リニューアルオープン2日目ということで候補に入って来るのだが、さすがに全員で苦笑いしてスルー。

( ゚Д゚)「そりゃそうだわww」

この日はどこに打ちに行ったか、全く覚えてないが…いやー青春だねぇー!若いバカって素晴らしい。野球やサッカーや勉強にかける青春もあれば、こんな愛すべきバカ達が銀玉にかけてた青春もあるワケよ。
社会的に良いか悪いかは置いといて、青春ばんざい!

※このコラムは遊技日本・本誌からの転載です※

遊技日本さまのご厚意により実現したものです。ご協力ありがとうございます。