コロナ禍とパチンコということで、確かにここ数年はそれまで経験していなかったことがパチンコ業界にもたらされました。営業自粛は予想がついたことですが、遊技客のマスク着用や台間の仕切り板設置、店によっては1台おきにスペースを確保し、実質的に台数を削減した上での営業など、ほとんどの店は ‘日常’ が戻るまではやれるだけのことを必死でやっていたように思われます。

 自粛、休業要請を無視し、営業していたホールもありましたが、そんなホールがマトモなわけはなく、行く客もどうかしていると思わざるを得ませんでしたね。TVでそんなホールに行く客をインタビューしていましたが、生活がかかっている云々みたいなことを言っていたのは正直驚きました。そんな店が日当換算で2万、3万いくような台を設置しているのか、甚だ疑問でした。

 普通にパチンコ、パチスロを嗜む、楽しむ人であればコロナ禍に明け暮れた時期、特に2020年初頭からの1年間は色々な意味で慎重に立ち回った、振る舞ったことと思います。恋人がいる、家族がいる、高齢の親がいるなど、自分が外でもらってきてしまったら非常にまずいことになると、それは私自身にも言えることでした。パチンコ、パチスロを打ちたくとも今は打つべきではない、今はその時ではないのだと、ごくごく当たり前に導き出された結論でした。

 2020年か21年かはもう記憶が定かではないのですが、近くの店がしばらくの休業から営業を再開するというので、様子見も兼ねてちょっと打ったことがあります。地元のその店に行くのは久しぶりだったので、自分自身、多少の期待感もありました。ですが、パチンコはどの機種も釘の様子が芳しくないのでパチスロコーナーに行き、確か打った機種はバジリスク絆2だったと思うのですが、まあ自分の台も含め、おそらくベタピン濃厚で、それは他機種も同様。今回のテーマ、遊技とコロナ禍を書くにあたって一番書きたかったことなんですが、パチンコ、パチスロを打ってくれるお客、ファンあっての業界なわけで、我々を含め、その人たちをないがしろにしていたら、この業界の未来はなきに等しいわけです。

 それなりの間、パチンコ、パチスロが打てなかった人たちが営業再開を喜び、再び遊びに来た、そういう人たちから休業の間取れなかった分を取ってやれと言わんばかりの釘調整、設定状況、正直呆れました。店は慈善事業じゃない、甘いこと言ってたらこっちが潰れると、店側の言い分はそんなとこでしょうが、今やることはそうではないでしょうと、自分が言いたいのはそういうことです。

 せめて遊ばせることくらいはできないのかと。前述の店は非等価で貯玉再遊技も2500個が上限、パチスロも非等価という交換率で、そうであればパチンコはボーダーギリからマイナス1、2程度、パチスロは中間設定、このくらいでも十分儲けは出るはずです。ですが、実際は遊ぶことすらできない調整 (設定)であり、GW中や年末年始ならまだしも、自粛期間も一段落してさあこれからという時にどうしてそうなのかと、何ともイャな気分になったことを覚えています。情けないと言うか、何と言うか……。

 感染法上の分類が5類に引き下げられた2023年5月、この頃になるとようやく日常が戻ってきたように思いますが、それでも人と比較的近距離で関わらざるを得ないような場所では、以前と同様の行動が要求されました。病院での見舞いはリモートが当たり前でしたし、病院内の決まりごとが多少緩和されても、直接の見舞いは週に1回が限度でした。外からの感染の可能性が排除できないということです。それはそれで仕方ないことで、以前のような状況に戻るのはまだまだ時間がかかるのだろうなぁと思いました。

 年が明けて2024年、個人的に風邪をひき、体調が悪い時に良くお世話になっている行きつけのクリニックに行ったのですが、本来なら電話予約で熱があるかないかを伝えてから来院する、熱があったら指定された時間に来院して個室で診察するとのことでした。事情を知らずに来院した自分は特に熱は高くなかったのですが、一応抗原検査をし、幸いコロナではなかったので普通に診察してもらい、薬をもらって帰りました。やはりまだまだ世の中はコロナ前と同じというわけではないのだなと、思った次第です。

 現在、ホール内はコロナ前とほとんど変わらないような環境に戻ったかのようですが、2023年末の全国のホール店舗数は2020年度の9,035店に比べると約2000軒減の7,083店になっており、先は明るいとはとてもじゃないが言えない状況になっています。コロナ禍でパチンコ業界が受けた打撃はそれなりのものがあるでしょうが、前述のように自粛、休業要請を無視して営業を強行した店や、自粛期間が一段落した直後にボッタクリ営業を当たり前のように行った店があったり、所詮は金儲け至上主義、その程度の業界と思われても仕方ない面が垣間見られたような気がします。一般の打ち手、ファン、ユーザーが離れてしまったら店もメーカーも持たないんだと、コロナ禍が落ち着いた今だからこそ、業界全体で今一度真剣に考えるべきと思います。