今回の一件を受けて店長はこう話す。
「分煙ボードがトラブルの元になるのですから、いっそのこと業界全体で早く全面禁煙にして欲しいぐらいです。ホールは堂々とタバコが吸えると思っているお客さんも多いので、なおさら全面禁煙にして欲しいです。ウチだけが率先してやることはオーナーが嫌がるので」
---引用ここまで
所詮、数字しかみていないオーナーでは現場の悲痛な声など聞こえないという事か。はたまた、このような些細なトラブルなど我関せずか。
なぜこのようなトラブルが起こるのか。起こさない為にはどうすればいいのか。そういった視点を持つ以前の問題としてユーザーの顔を見ていないオーナーが現実にいるのだろう。
少し筆者の会社員時代の話をさせて頂く。
筆者が勤めていた会社は2006年の入社時、同じオフィスで働くスタッフ全員が喫煙者で、社内での喫煙は当たり前のように許されていた。
それから数年。オフィスも変わり、アルバイトを雇えるようになった時、とある年配の女性アルバイトがウェブデザイナーとして入社したが、唯一タバコを吸わない方だった。
ECサイトをしていた会社の中で、その女性スタッフのセンスは他の誰も持ち合わせていない貴重な存在だったが、ある日社内の空気が「霧がかってる」と冗談交じりに話した事があった。
そこからの社長の決断は早かった。社長自身も1日1箱以上を吸うヘビースモーカーだったが、オフィス内を禁煙化した。
筆者を含むスモーカー集団は、その決定を不服に感じたものだが、それから数年後に筆者が退社する際の送別会の席でその時の話になり、「あの時の社長の決断はありがたかった」という話を聞いた。
勿論、「ここ(居酒屋)では好きに吸って下さいね(笑)」という言葉と共に。
それから10年。その女性スタッフは未だ会社のウェブデザイナーとして若い子の指導役までこなし、会社にとって欠かせない存在になっているそうだ。
筆者が退社した時には5人のスタッフしかいなかった会社が、今や50人近いスタッフを抱える会社へと成長している。
ことパチンコホールにおける喫煙問題は、お客だけの問題ではない。
受動喫煙で健康を害する事がデフォルトな環境に我が子を勤めさせたいと思う親がいるだろうか。
自分の大切な恋人がそんな環境で働いていたらどう思うだろうか。
周囲にそんな心配をかけながら働かなければならないスタッフ本人は、果たして本当の意味で会社の為を思って働いてくれるだろうか。
そんな環境では優秀な人材など入ってこないように思う。
そしてまた、ユーザー側の意識改革も必要だ。
現状のホールがタバコを吸える場所であれ、それ以外の場所であれ、他者を気にせず煙の行方を気にせずタバコを吸っていい道理などない。
自身の目の前を常に煙が横切り、はたまた吸った後の煙を顔面に吹きかけられたら、と想像して欲しい。
それに近い事をやっているならば、喫煙者の風上にも置けないし、そうして喫煙者が自分たちの首を締めている。
タバコの問題は、感情的な議論に発展する事が非常に多く、パチンコ日報の記事内のようにケンカ騒動へと発展してしまう事もそう珍しい話ではないわけだが、少なくともパチンコ業界の外にいる非喫煙者からは「なんてレベルの低い話をしているんだ」と笑われている事に気づかなければならない。