カジノ法案に関してはここで何度も言及しているのだが、急ぐ理由は結局コレだった。依存症対策やら何やら、全てカタチづくりで、最初からカジノ建設は決まっていたようなものである。こういうのを世間一般では茶番という。

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備法案は、六日に参院での審議に入る。カジノ解禁を安倍政権が急ぐ背景には、米カジノ業界から支援を受けるトランプ米大統領の影が見え隠れする。ギャンブル依存症の増加など多くの懸念が指摘される法案は結果的に、日本参入を目指す米側の要求が反映された。 (中根政人)

 二〇一七年二月十日朝。米首都ワシントンに前夜到着した安倍晋三首相は、米国商業会議所での朝食会に出席した。昼には、前月大統領に就任したばかりのトランプ氏との初めての日米首脳会談を控えていた。

 出席した米国のビジネスリーダーは十四人。金融や軍事産業などのほか、米国を代表するカジノ企業トップ三人もいた。今年六月にシンガポールで開かれた米朝首脳会談の前夜、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が視察したカジノ入りの高級ホテル「マリーナベイ・サンズ」などを経営する「ラスベガス・サンズ」会長の「カジノ王」シェルドン・アデルソン氏も含まれていた。

 アデルソン氏は、トランプ氏の有力支援者。大統領選で四十億円近い資金援助をし、今秋の中間選挙でも共和党に資金提供を約束していると報じられる。政権の政策にも大きな影響力を持つ。イスラエルのネタニヤフ首相の支援者でもあるユダヤ系で、米大使館のエルサレム移転を歓迎し、費用の寄付も申し出ている。

 安倍首相は朝食会でアデルソン氏らを前に、前年十二月に公明党幹部の反対を押し切って強硬に成立させたカジノを含むIR整備推進法が施行されたことを「手土産」にアピールした。

 「IRは観光立国を目指す日本にとって有益だ」「IRへの社会的懸念など課題解決に貢献したい」。米側が日本進出への意欲を口々に語った様子を、首相自身が今年六月の国会で紹介。ただ、朝食会から三時間後のトランプ氏との首脳会談では、カジノの話題は一切出なかったと答弁した。

 アデルソン氏は一七年九月、カジノ誘致を目指す大阪府庁を訪問。記者団にIRの採算が取れなくなると強調、カジノに厳しい面積規制を導入しないよう求めている。

 「在日米国商工会議所」も昨年、意見書を公表。カジノ客への金融サービス実施や面積規制の緩和も求めた。その後、政府案に当初盛り込まれていた面積の上限の数値は消え、カジノ事業者が顧客に賭け金を貸し出すことも認めた。米側の要求と一致したと国会でも指摘されたが、政府は日本の政策判断だと強調する。

 だが、立憲民主党の枝野幸男代表は「米国カジノ業者が子会社をつくり運営し、日本人がギャンブルで損した金を米国に貢ぐ。国を売る話だ」と厳しく批判している。~以上、7月6日付東京新聞web版より引用~

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201807/CK2018070602000130.html

 国民を見ず、どこかの国の顔色ばかりを伺っているのは今に始まった事ではない。世論調査では国民の6割以上が反対の意思を示しており、日弁連までカジノ実施法案の廃案を求める声明を出している。こんな状況の中、カジノが解禁されても当初の目論見通りにはいかないだろう。

 大体、パチンコですら未だ拒否反応を示す人が多いのだ。それと比較にならない金額のやりとりが可能になるカジノに諸手を挙げて賛成する人が少ないのは当然だろう。個人的には別段カジノに特別な拒否反応を表す気はないが、決め方が問題なのだ。

 後々、禍根が残るような決め方をしてどうするのかと、そういうことである。将来、あの頃もっと時間をかけてきちんと法案を審議しておけば良かったと顧みても遅いのだ。