「あと10年もってほしい」近年自分が口にするセリフだ。
実際のところ、国民年金の身では隠居して悠々と暮らすことなどできないのだが、ずっとプロが楽々と勝てる状況はそんなに続かない気がしている。
現実には、業界全体の衰退にコロナが拍車をかけ、そこまでもつかは怪しいけど…。
(パチンコは残っても、店に勝つ打ち手が存在しなくなるという意味で)

思えば、多くの知り合いがこの稼業を辞めていった。自分は留年し続けて先生より年上になった学生の如くこの世界に長くいるので、本当にたくさん見てきたんですよ。
ある人は黙って去り(連絡がつかなくなるのも含む)、またある人は「金が無くなった」と真っ当な道へ戻った。もちろん、先への努力をした上で、正業で成功した人もいる。

ただ、時代時代の勝ち方に乗って食っていた人の何割かは、辞める直前に「パチンコがつまらなくなった」とか「パチプロなんて」といったセリフを吐いたんだな。
考え方は人それぞれだし、あえて否定もしなかったけど、自分の中では格好いい発言とは思えなかった。
「じゃあ何? 喜々として打っていた頃も、楽して稼げるからやってただけかい? 楽しいふりをしてたの?」
と思ってしまうんだよ。
自分はいつも苦労の連続だったからかな、「勝ちに辿り着くまでの苦労も含めてがパチンコの楽しみ」そんな意識があるから、余計に「今時はどこへ行っても楽だけじゃない。そんなんじゃ生きていけないんじゃないの」と皮肉を言いたくなるんだ。現実には言わないけどね。
メディア人でも現場の打ち手でも、パチンコを卒業していった人達はほとんどプロの世界に帰ってこない。それはこの稼業がいかに割に合わないかを物語ってもいよう。
でも、古い人間の自分からすると、「パチプロなんてもともとそんなもんだ」という諦観がある。
適性や環境、いろんな面で他でやれない人間が、ひっそりと自分の食いぶちだけを得る。そして、案外その生活を持続させるには資格と努力が必要。そういう世界だと。

だから、どういう形にせよ、自分はもしこの生活を辞める時が来たら、自分に正直でいたい。
(可能性は低いけれど)別の世界に転身できても「まだパチンコも勝てるけどさ」とは言わず、「辞めた以上は、もう戻っても勝てるかはわからない」と。
そして、刀折れ矢尽きたら「食えなくなったからもう無理」と、自らの過ちを悔いたい。

ふふふ、まだ全然身を引く気もないのに、大袈裟なことを書いちゃったかな。若い頃と違い、「もうこれしかないかな」と思ってる我が身だ。まだまだ泣き言を言いながら、ホールには出ますよ。
自分には道半ばに病で世を去った先輩や同世代が成しえなかった、パチプロのゴールをメディアで見せる努めがあると、勝手に思ってね!