皆さんこんにちは、万回転です(ゆっくりボイスで脳内再生して下さい)。

うん、さっさと本題に入りますね。

ここで言われている事が全てというか、表面的にはすごく大事な事。

族議員を出します。そうしたら業界が(多分、なんとなく)良くなります。

これだけで心が動く人なんて、直接的なステークホルダーだけだし、下手したらそのうさん臭さで票を逃がしている可能性すらある。業界が一枚岩になれない原因もそういうところにあると思いますしね。中の話なんて知らんけど。

上記動画の内容を端的に言えば

業界としてのビジョンを示せ(今回はそれが無かった)

ただそれだけの話です。

大崎さんとは繋がりも深い(であろう)、令和さんやら、裏研修さんやら、各種インフルエンサーを動員しての空中戦は、やり切った感があるんでしょう。そこはその通りだと思います。

ボクが3週前に書いた「族議員が生まれるとこんなにユーザーにはデメリットがあるって話 参院選2022中編/万回転」なんかは、疑似公約の内容は正直どうでもよくて、そういう姑息な空中戦へのカウンターカルチャーみたいなもんだったわけですが、選挙という戦いにおいては、ガーシーの当選という事実が示す通り、そんな浮動票の取り入れは必要でしょうし、それをやり切ったからこその談話だった。

この動画は、そう感じました。

で、当たり前の話ですが、大崎さんもヤングさんもPOKKAさんも業界メディアでは大物中の大物ですが、実際に業界を動かす中の人ではないわけです。そういう意味でも忸怩たる思いはあるんでしょう。

その結果が「ビジョンを示して欲しい」なんだと思いますし、その通りだと思います。

 

ただ、ボクはそこからもう一歩踏み込んだ、メディアも含めた業界の方々が見て見ぬふりをしている件について話をしたいと思います。

 

そもそも、ギャンブルとしてのパチンコ・パチスロって本当に必要だと思いますか?もっと言えば、ギャンブルって本当に人々の生活に欠かせないものだと思いますか?

ボクは、これ以上ない「必要悪」だと思っています。

ボクは若い頃、パチンコにはまって金銭面で大変な思いをしました。自業自得と言われたらその通り。自己責任でしかありません。

しかし、その当時、本当にパチンコ・パチスロが好きで仕方なくて、面白くて仕方なくてホールへ通っていたかと問われれば、それは確実にNOです。

そんな言い訳を自分にしながら、ギャンブルに脳を焼かれていた。その結果、使ってはいけないお金を使っただけであって、今振り返っても最初期のパチンコとの出会いは、完全にギャンブル中毒としての、のめり込みでした。

そこから金銭的に苦しい・恥ずかしい・情けない思いをした結果、それでも打つ事を止められないなら、どうにかして勝てないか。そんな形で道を探った結果が、パチプロでした。

しかし、それで良かったのかと言えば、心から良かったとは言えません。失ったものも多いので。

そんな原体験があるからか、ギャンブルは本当に恐ろしいと思うし、そこからボクのように社会的な立場はともかく、経済的に何とか立て直せたのはただただラッキーだっただけ。

それが出来ずに身を持ち崩してしまう人が、いわゆる「ギャンブリング障害」に陥ったと判断される方々です。

ギャンブリング障害(ギャンブル依存症)は、ギャンブル本体そのものが問題なのではなく、個々人の背景にある社会生活や家庭生活が問題の大部分を占める、なんて話もあります。その論自体は決して間違いだとは思いません。

しかし、だからといって、心が弱った人をさらに経済的に追い込むようなお金の取り方をしてしまって良いのか。そして、それら依存症のような方々無くして、パチンコ・パチスロは本当に業として成り立つのか。メーカー・ホールの経営者の驕奢な住宅は、車は、社員が得ている給与は、メディアの中で間接的に業界を後押しする人々の得ている報酬は、本当に分相応なのか。それらは果たして純粋なエンタメとして、お客が納得のもとに落とされたお金なのか。

そんなわけはありません。

数多の犠牲があって、初めて成り立っているのがパチンコ・パチスロに限らないギャンブルという業の根本だと思います。

で、あるならば、そんな産業が不要だと思う人が多いのも当然ではないでしょうか。この“業(ごう)”を抱えながら、その根本に背を向けて物事を論じたところで、全ては絵空事・綺麗事の類でしかありません。

これは常に、パチンコ業界が抱えている重しのようなものでしょう。

 

先日、性風俗業界がコロナの給付金対象から外れた事を「法の下の平等に反する」として、国を相手取った訴訟がありましたが、東京地裁は原告(性風俗業界)の訴えを退ける判決を出しました。

理由は「性行為などは極めて親密かつ特殊な関係性の中、非公然と行われるべきだという道義観念を国民の大多数が共有している」から。

ボクの勝手な要約は

「元々いかがわしい商売なんだからアングラのままでいろ、堂々と権利を主張すんな」が民意、です。

この判決は非常に興味深いと思いました。なぜなら、パチンコ業界も似たような土俵の上にいると思うからです。

 

世に溢れるエンターテイメントの世界は、それら自体は決して生活に必要不可欠なものではありません。農業や漁業のような一次産業は勿論、冷蔵庫や自動車やエアコンなど、文化的な生活を送る為に必要な物を作る2次産業でもありません。

野球やサッカーのようなスポーツも、元々の起こりは余暇であり、ただの娯楽です。ディズニーも同様です。そして、パチンコも第二次世界大戦前後に限った話で言えば、余暇の一環として生まれたものにすぎません。

しかし、そこからなぜスポーツやディズニーは大多数に受け入れられ、パチンコは受け入れられなくなってしまったのか。

それはもう明確に、この業界が歩み、選択してきた道の結果が「公益より害が大きい」と判断されたからであって、エンタメよりもギャンブルという側面を重視してきたからです。

1950年代の連発式の時も、80年代のフィーバー機ブームも、90年代の連チャン機ブームも、00年代の爆裂AT機ブームも、業界が盛り上がる=常に射幸性が高まる時=社会問題化してきた、という歴史的事実があります。

業界が盛り上がる=不幸になる人が増える、という図式がある中で、今からもう一度業界を盛り上げたい、という人は一体何をもって盛り上げると言うのか。

今回の参院選で言えば、インフルエンサーたちが示した疑似公約は、全て射幸性を高める方向の規制緩和に言及する内容だったけれども、そのやり方では間違いなく世間の大多数には受け入れられないし、業界が抱える“業”も変わりません。

それはあまりにも「大義」からかけ離れた、最終的には私欲でしかない話と感じてしまいます。

大義とは「好き嫌いはともかく世の中に必要だよね」と思えるナニカです。

それを示せていない……というか、事ここに至っては、抱える私欲が大きすぎるが故に、示せないのが分かっているから示さないのがパチンコ業界のようにボクはずっと思ってきました。

換金や税金の話を聖域化しているのも結局はそういう事。身を削る改革なんてする気が無いって話です。

だからこそ、政治という公権力にすり寄るのは「ちょっと待てよ」と思ってしまうし、いくら推されようが、尾立氏にも木村氏にも票を投じたいと思えなかった要因です。

大義なきまま権力など持って欲しくないし、それが無いならパチプロよろしく世間の端っこで多くを望まず慎ましやかに暮らせ、としか思えない。

その本質を踏まえず、大義も示さず「業界を盛り上げたい」という人は、ただの不勉強か、ギャンブルにのめり込んで不幸になる他人なんてしったこっちゃない、という根本がある人々です。それは、ボクには全く理解できない感覚です。

 

まだネットが無かった昭和から平成にかけて、遊技人口が3000万人にも達したのは、ギャンブルの麻薬とエンタメとしての面白さが極限に達した結果でしょう。

しかし、仕事も趣味も生活も、あらゆる分野で多様化が進んでいくこれからの時代、射幸性を高めたらお客が戻ってくるというのは大間違いだし、だからと言って射幸性を捨てきれないのは、パチンコ・パチスロという遊技自体が、エンタメとして半世紀以上何も発展していない証拠です。

玉をはじく、あとは見守るのみ。

メダルを入れてボタンを押す。あとは機械が定めた結果のみ。

パチンコは100年、パチスロは50年、ずっとこれを繰り返しているんですよ?そこに何の進化があったのか。そんなエンタメ、飽きられて当然だと思いませんか?

そのような根本を変えるイノベーションが起きない限り、間違いなく「過去のサブカル」として歴史の中に埋もれていくのがパチンコ・パチスロではないでしょうか。

この先、他者を不幸にするギャンブルという要素を極限まで消し去り、それでもエンタメとして受け入れられる何かを手にする事があるとしたら、その時初めてパチンコ・パチスロに大義が生まれるものだと思います。

それを、今業界内で生きている人々に求めるのは、酷な事だと分かっているけれども。

 

一時の享楽は人間にとって必要なものだから、それを提供するこの業自体を否定なんてしたくない。でも、やりすぎた。それだけの話だと思います。

もしもこの先、遊技としての根本を変えて生まれたナニカがパチンコ・パチスロと呼べるモノなのかは分かりません。そんな未来が来るのかも分かりません。それを起こす為には法改正が必要だし、だからこそ族議員を出したい。そんな話なら良かったのに。

そう思うわけですが、一つ確かなのは、このままでは世に溢れる「エンターテイメント」のライバルたちと伍していく事は不可能だ、という事です。

族議員を出す意義に、そんな根本を変える何かを示してくれる方がいたなら、きっとボクは1票を投じたと思います。

そして、願わくばその言は、胡散臭いインフルエンサーたちからではなく、立候補する本人の口から聞きたいものです。


■万回転 プロフィール

  • 1978年生まれ ♂ 
  • 累計15年間パチプロしちゃってごめんなさい
  • CR銭形平次の捻り打ち動画をアップしてしまいネットでプチ炎上した事を機に安田プロと個人的な親交が生まれ、悠遊道へ寄稿する事に
  • 色々あって完全にパチプロを引退。
  • 現在は悠遊道動画チャンネルの何でも屋

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