師も走る年の暮れ。どうしても肌寒さ増すこの時期は、長く販売業をしていた頃を思い出す。皆が浮かれるクリスマスと聞いてゾっとするには訳がある。

地元の小売業に就職し、就いた部署が玩具売り場。玩具売り場の年末は戦争です。いや、今はもう少子化も進みそんな風では無くなりましたので、戦争でした。

年末向けの売り場を作るため、5階建て店舗のバックルーム内のあちこちにある木板と牛乳ケースをかき集め、布貼って押しピンで止め、商品を山積み展開に。普段は1台のレジも4台にし、レジ島も増設。進物包装用サッカー台の確保も必要。結局分散レジよりフロア中央に集中レジの方がいい流れにはなりますが、よりお客に寄り添うなら分散レジとは思ってました。

このように年中玩具売り場はアメーバの如く変形をすることに。でもワックスで床と引っ付いた什器。キャスター付き什器なんて便利なモノなど無い時代、動かすのに腰をイワす可能性大。

Xマスツリーの中身を出して展示し飾りつけ、天井からモールを吊っての演出。エンドレスに流すXマスソング。逆にプラレールの実演などは撤去。

バックルームは連日すごい量の年末商材が入荷し、通るに通られない状態に、電話で「なんとかせい」と言ってくる。日中はお客の対応で身動きできないので、バックルームの整理、売り場の商品補充や整理は閉店後。1人もくもくサービス残業で日付が変わり、店舗内には守衛さんしか残ってないこともたびたび。

玩具売り場がある5階にバックルーム無く、保管場所は4階中心で奥の方、3階にも系列のサンリオショップがある好で一部置かせてもらい天井まで積み上げてもまだ足りず、店外の駐車場奥の倉庫まで使用し保管したり。だいたい、こういう時期に限って人間大の激安ぬいぐるみを大量に送り込んでくる、こっちの苦労など全く考えない本部。殆ど使用中ばかりのエレベーターが空くのを待てず段ボール箱抱えて狭く暗い従業員用階段を駆け上がる、なんてのもしょっちゅう。

そしてクリスマスはギフト包装。臨時で雇う不慣れな学生アルバイトゆえ遅いのは仕方ないとはいえ、どうしてもイライラしてしまう。2000ピースのジグソーとパネルのギフト包装、人間大のぬいぐるみのギフト包装などバイトでは無理なのを代わって、もこっちも常に対応中ゆえ身動きなどできず。

常にお客が並んでる状態に、スピード命ゆえ商品の取り扱いは目にも止まらぬ速さで手さばきするも、台の上に置く瞬間だけは音を立てないのが私流。

そしてギフト用の赤い包装紙で覆われた商品群。置いておいてとお客から頼まれて足元に所狭しと増える状況に、もう中身が見えないからお名前札貼り付けは徹底。これ絶対。

お昼休憩を順番に取らせるも自分自身の休憩など無理無理状態。なんせ、クリスマスは親が子供の希望を聞いてくる目的買いゆえ、商品も見えないくらいにお客が多すぎてどこにあるか分からないからレジから出ても直ぐに呼び止められ「テクマクマヤコンコンパクトありますか?」とか、休憩など無理無理。

値引き商品がちゃんと値引きされたレシートか、しっかり見てるお客。そしてこっちに向かってくるお客。あまりに待たせるのでレジ周りに商品を捨て置いて帰るお客。それでも並んでる順番だけは間違えることはできない。これ絶対。

兎に角朝から晩までギフト包装しまくり、だんだん指の指紋が無くなってくる。釣銭がレジに入りきらんようになって飛び回る営業時間が終了してまずする事。それはレジ違算調査。釣銭、1円玉5円玉10円玉・・1人で全部枚数を数える。レジ4台分。

4台に増台したレジ。バイトであろうがパートであろうが違算を出さないハズはなく、500円以上の違算は違算報告を書かなくてはならない。売上予算を達成できても多額違算が出れば、嬉しさ吹っ飛ぶ。そしてようやく売り場に入り、ひっちゃかめっちゃかな商品。歯抜けになった商品を補充するため、バックルームの保管商品を運搬。商品出し。商品整理。1人もくもく誰もいなくなるまで残業することで良いことがある。

それは、エレベーターが使用中でないこと。ギフト用包装紙を他のレジ内から拝借できること。そして翌朝は繁忙期特有・食品売り場応援で朝6時からのリストに入っている。繁忙期は普段使える従業員の駐車場が使用禁止ゆえ各自で確保となる。よってより店舗から遠い土手とかのスペースに早い者順。なので帰宅時も出勤時も外真っ暗、車のライト点灯して、となる。

そして帰宅して直ぐ寝る訳にはいかない。この時期、どさくさに紛れてこちらが発注してない商品を送り込んでくるケースあり、その確認の為持ち帰った分厚い仕入伝票を問屋別にファイルしつつチェックするのである。

朝6時から1階食品の、精肉のラップ掛け(実習期間で精肉担当だったため、ココの応援の常連)などして9時。ようやく5階に駆け上がって短時間で売り場作り、と、レジの準備。また戦争が始まるのである。そう、12月31日までみっちりと。ちなみに食品部門への応援は夏と冬必ずあるが、逆にこちらに応援を貰ったことは皆無である。

また、1人12個のクリスマスケーキのノルマ(私は毎年達成しました)ゆえ、23日だけはいつもより早めの21時に退店し、車に積んだケーキを場合によっては雪道を親戚らに配ることに。まあ、サンタさんに早変わりですね。

そして25日の朝はある意味恐怖が待っている。「子供にXマスプレゼントした仮面ライダー変身ベルト、電池入れても動かん。どうなっとるんや。あんたんとこは電池で動くか確認もせんのか!」という電話が入る可能性があるから。この対応の為、電動玩具は必ず各1個、クレーム対応で確保しておく、のが私流。

そして閉店後、クリスマス商材や演出を一気に撤去し、ゲイラカイトを天井に飛ばしたり。その後、お正月のチラシに入る机の組み立て、陳列など時には26日くらいの年末最後の公休日にサービス出勤し汗だくでやることも。31日は1月2日からの営業に向け、福袋を準備してようやく1年が終了。

つまり休日は元日1日のみ。他も連休など皆無。世間が休みの時忙しく、世間が休みで無い時も忙しいのが玩具売り場。

そして、明けて1月2日は全部門で1番売り上げが高いのが玩具売り場。この時は本部応援者が来る。私が朝礼時に言うこと。「テクマクマヤコンコンパクトは売り切れです」。そう、そんな売れ筋商品が残ってるハズはなく、「主任!テクマクマヤコンコンパクトある?」という質問攻撃を回避するのである。でも、万一のクレーム対応用に1個あるけどね。

開店後はお年玉攻撃で直ぐにレジパンパン、鼻の頭が痒くなってもかく暇がない忙しさ、となる。でも、文句言わない子供のお客、&ギフト包装をする必要が無いレジってまだ楽。

主任の上は次長。今から思えば1人残って残業する私に、手伝う気など皆無なのはさておいて、「お先」の一言すら無かったなぁ。そして他の売り場は社員複数人がしゃべりながら残業してたが、5階は常に私1人だけ、だったなぁ。

そして玩具売り場主任に休息なんてありません。世間がくつろぐ年末年始に働きまくり、それに代わる連休なんてありません。その後もずっと働きっぱ。まだ書き足りませんので少しシリーズ化にしたいと思います。

では、皆さん良い年をお迎えください。