現在、プロもそうでない人もメディアに登場する女性パチンカーは数多おり、それぞれ和気あいあいと楽しく遊技されてる訳ですが、もともと初めてメディアに登場した女性プロは浅井美恵子さんだと思っています。いわゆる元祖、というやつですね。

まだまだパチンコはアウトロー的男の世界の感がある時代に、女流プロならではの先駆けとしての苦労は並々ならぬものがありました。パンチパーマの店員、タバコの煙でくもってる店内、通路も台の台の間隔も狭く、隣のオヤジと肩が触れ合うような空間の中で孤軍奮闘をされました。パチマガ系某女性ライター氏へこのいわばパチマガの大先輩である浅井さんを知ってるか問うても「知らない」の返答。

そう、故田山プロは知っていても、浅井プロは知らない。確かに田山プロのお話はいろんなSNSで出てきます。が、浅井プロのお話は出てきません。

女性として初めての道しるべを切り開いたいわば先駆者である浅井さんを知らないとは実に残念。なので是非紹介をしたいと思いブログにて書きます。

奈良出身の浅井さん(浅井長政の親族の末裔だそうです)は、20代のころ金融会社でOLをされてました。そこの店長に酷い仕打ちを受け、挙句リストラの憂き目に遭いました。同じ頃、付き合っていた男性からプロポーズを受けるもご破算になり、極度に落ち込みました。そして家で泣いてばかりいる様子を見かねた友人からパチンコに誘われました。

無職の身にビギナーズラック。大一のオリオン(3回権利物・悠遊道動画あり)で500円が15000円に。天にも昇る嬉しさを味わった、ことがパチンコにハマったきっかけでした。パチンコは打てば勝てると勘違いしました。やがて、大負けを経験しました。友人に、この事は言えずにいました。そしてどうしたら勝てるのか、執念を燃やして考えました。そして新装開店狙いや、レスキューキャッチャーの止め打ちで勝てるようになりました。

友人から「浅井さんてパチプロみたい」と言われて「私はパチンコで勝ってノラ猫みたいに頑張ってるから、パチプロじゃなくてねこプロよ」そう言い返して2人で大笑いしました。

その後、和歌山で行われた「パチンコ攻略マガジン」主催のパチンコ大会に参加しました。この時、スタッフさんとお話をしたことがきっかけで「奈良に女の子のパチプロがいる」という噂が広まり、ごま書房から単行本の話が来ました。「パチンコで月50万稼ぐ法」という書籍を出版しました。

やがて日本テレビから取材が入り、TV番組にも出演しました。番組では「パチンコ7つ道具」を紹介しました。ちなみに7つ道具とは「パチンコポーチ」「手帳」「耳栓」「電卓」「石鹸」「ポケットベル」「携帯電話」で、これを真似るパチプロも現れました。「パチンコ攻略マガジン」「週刊漫画タイムズ」でも連載が始まることになりました。

はい、私も、必勝ガイド誌と共にパチンコ攻略マガジンも長年愛読をしており、ねこプロこと浅井さんの「ねこのかんづめ」のページも興味深く読んでいました。勝った金額などなんとでも書けるから、と敢えて収支は書かない方針でした。パチンコだけではなく旅行の話など読み応えがありました。そこでは私の投稿をじゃじゃさんからのお便りとして掲載をしていただいたこともありました。そしてその流れで文通もいたしました。

女性としてのメディアの世界は決して順風満帆ではありませんでした。TV出演でのパチンコ実践の際は「プロなんだから直ぐに当てて!」と無茶ぶりを受けました。執筆の内容について某スポーツ誌から捏造疑惑をかけられました。自身がしっかり考え、下調べもして作成した文章にいちゃもんを付けられて黙ってる気などありません。女性軽視の体質が現在大問題になってる系列に対して立ち向かい訴訟を起こし、見事勝訴しました。しかし、巨大な力に単身で立ち向かう心労は察するに余りありますね。

また、同業者だと思ってたパチマガの某ライターの素性を知って、パチンコの裏の顔に立腹しました。

これらのお話は、「ねこのかんづめ」や文通からの内容や、愛読書籍「ねこプロ流パチンコ必勝スタイルV」などからの情報が元となっています。特に、1997年に出されたこの書籍の内容が、単にパチンコの勝ち方に留まらず、今後のパチンコの話やTV番組のカラクリや、退職の技や、豊富な人生経験に基づいた多岐にわたる情報が散りばめられていて実に読み応えがあります。一プロが執筆したこれだけの内容の書籍を他に知りません。

そんな浅井さんも、結婚を機にパチマガから離れられました。

そしてその後、浅井さんが亡くなったという噂がSNSから飛び込んできました。そしてその真偽を確かめるべくいろんな方へ情報を求めました。その結果、けっこう具体的な情報を得てどうやら本当らしいという結論に至りました。

浅井美恵子さんは結婚後森本姓となるも、2011年12月頃に病気で亡くなられた、そうです。ご冥福をお祈り申し上げます。

やはり、パチプロってストレスを抱えて当たり前。元来が優しく大人しい性格もあり、加えてパワハラ的メディアからのストレスも半端なかっただろうし、恐らく結婚後はパチプロからは足を洗われたとは思いますが、身体の蝕みは残った、のかもしれません。

今、来店イベントバブル時代と言われ、めちゃくちゃ多くの女性がパチンコ演者をされているわけですが、その昔一人で男の世界のパチンコ業界に分け入って、女だからと今でいうパワハラを受けつつも道しるべを築き上げた一人の女性がいたことを、ちょっとでも知って頂ければ幸いでございます。